魂魄(読み)コンパク(その他表記)hún pò

デジタル大辞泉 「魂魄」の意味・読み・例文・類語

こん‐ぱく【魂×魄】

《「魂」は、人の精神をつかさどる気。「魄」は、人の肉体をつかさどる気》死者のたましい。霊魂
「―このに留まって」〈鏡花・註文帳〉
[類語]精霊英魂み霊英霊神霊祖霊霊魂忠霊尊霊亡魂

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精選版 日本国語大辞典 「魂魄」の意味・読み・例文・類語

こん‐ぱく【魂魄】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「こんばく」とも。「魂」は心、「魄」は心のよりどころとなる形あるもの ) 心身。または、たましい。霊魂。
    1. [初出の実例]「已無妻子又無財、容体魂魄具陳述」(出典:菅家文草(900頃)三・路遇白頭翁)
    2. [その他の文献]〔春秋左伝‐昭公七年〕

魂魄の補助注記

「観智院本名義抄」には「魂魄」を掲げ、「魂」に対して「ヲタマシヒ」、「魄」に対して「メタマシヒ」の訓を記すと共に、両字について「二並タマシヒ」とある。

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改訂新版 世界大百科事典 「魂魄」の意味・わかりやすい解説

魂魄 (こんぱく)
hún pò

人間の精神的肉体的活動をつかさどる神霊,たましいをいう。古代中国では,人間を形成する陰陽二気の陽気の霊を魂といい,陰気の霊を魄という。魂は精神,魄は肉体をつかさどる神霊であるが,一般に精神をつかさどる魂によって人間の神霊を表す。人が死ぬと,魂は天上に昇って神となり,魄は地上に止まって鬼となるが,特に天寿を全うせずに横死したものの鬼は強いエネルギーをもち,人間にたたる悪鬼になるとして恐れられた。人の死後間もなく,屋上から死者の魂を呼びもどす招魂や鎮魂の習俗儀礼は,こうした観念から生まれたものである。一方,魂魄の離散すなわち死という観念は,一転して,魂魄を体内に拘束することによって生命を永遠に維持しうるという考えを生み,〈拘魂制魄〉の方術が仙術およびそれを継承した道教の中で発達した。この過程で,魂魄は人間の体内にあって生命活動をつかさどり,行為の善悪を監視する体内神の一つと考えられるようになり,さらに台光,爽霊,幽精の三魂と尸狗,伏矢,雀陰,呑賊,非毒,除穢,臭肺の七魄とに細分されるに至った。また,古来,夢は睡眠中に身体から遊離した魂魄が外界と接触することによって起こる現象と考えられたが,こうした観念は,身体を離脱した魂魄が遠隔地に現れて本人として活動し,再び肉体にもどるとか,他人に憑依(ひようい)するといった怪異譚を生み,六朝志怪小説や唐代の伝奇小説にかっこうの主題を提供している。
 →精神 →霊魂
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普及版 字通 「魂魄」の読み・字形・画数・意味

【魂魄】こんぱく

心霊。〔左伝、昭二十五年〕吾(われ)之れを聞く、樂を哀しみ哀を樂しむは、皆喪心なりと。心の爽、是れを魂魄と謂ふ。魂魄之れを去らば、何を以てか能く久しからん。

字通「魂」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「魂魄」の意味・わかりやすい解説

魂魄
こんぱく
hun-po

一般には人間の霊魂を意味するが,中国において本来は,人間の体内のエネルギーである気を司るのが魂,形体を司るのが魄と呼ばれていた。前者は陽,後者は陰に属するとされ,人間が死ぬと,両者は分離して上下に飛散するとも考えられた。

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