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実盛 サネモリ

世界大百科事典 第2版の解説

さねもり【実盛】

(1)平曲の曲名。《実盛最期》とも称する。平物(ひらもの)。平家の軍勢は加賀の篠原(しのわら)で木曾義仲に破られて敗走したが,斎藤別当実盛はただ一騎踏みとどまって奮戦した。赤地錦直垂(ひたたれ)に萌葱(もえぎ)の鎧というその晴姿を見て,手塚太郎光盛(てづかのたろうみつもり)が名のりかけたが,実盛はわざと名のらず,手塚の家来を馬の鞍に押さえつけて首を押し切った。しかし老武者のこととてしだいに疲れが出て,ついに手塚に討たれた(〈中音(ちゆうおん)〉)。

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大辞林 第三版の解説

さねもり【実盛】

能の一。二番目物。世阿弥作。遊行ゆぎよう上人が実盛首洗池の辺りで回向していると、斎藤実盛の霊が現れ、白髪を染め錦の直垂ひたたれを着て出陣したが、奮戦むなしく手塚太郎に討たれたさまを物語る。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

実盛
さねもり

能の曲目。二番目物。重厚に描かれた修羅能の名作。五流現行曲。出典は『平家物語』。斎藤実盛の亡霊が没後200年目に、戦死した首洗い池のほとりで遊行上人(ゆぎょうしょうにん)に回向(えこう)を求めたという、『満済准后(まんぜいじゅごう)日記』にも記されているニュースを、世阿弥(ぜあみ)が早速に脚色した能とされる。加賀国(石川県)篠原(しのはら)の里で遊行上人(ワキ)が法会をしているところへ、毎日聴聞にくる老翁(前シテ)があった。他の人に姿が見えぬ翁(おきな)に、上人が名を名のれというと、執心残った実盛の亡霊と告げて消える。僧の弔いに、ありし日の姿で現れた実盛の霊(後シテ)は、故郷へ錦(にしき)を飾るため赤地の錦の武装で出陣し、白髪を黒く染めた老武者の心意気を語り、源義仲(よしなか)を討とうとするが阻まれて戦死を遂げた無念、首が洗われて白髪になる話が、巧みな倒置法の手法で描かれ、成仏を願って消える。『頼政(よりまさ)』『朝長(ともなが)』とともに三修羅とよばれ、重い扱いをされる難曲の能。[増田正造]

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