① ミミガイ科に属するクロアワビ、メガイアワビ、マダカアワビなどアワビ類の総称。北海道、本州、四国、九州の沿岸に分布。巻貝だが、巻いた部分は小さく、殻は楕円形で殻口は著しく大きく、広い足で岩礁に付着する。殻が二枚貝の片側だけのように見えるので「片思い」のたとえにいう。長さ一〇~二〇センチメートル。表面は主に褐色で、孔が一列に並ぶが、後半の三~四個以外は孔がふさがっている。開いている孔は出水孔で、糞もここから出る。雌雄異体。内面には強い真珠光沢がある。肉は食用、殻は螺鈿(らでん)、貝細工、貝ボタンの材料になる。《 季語・夏 》