鳶職(読み)とびしょく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

鳶職
とびしょく

江戸時代に鳶口をもって普請にたずさわり,大木,大石を挽 (ひ) き立てた職人。現代では建築物建て方,足場組立て,杭打ち矢板打ち,建物の移動などの作業を行う職人のこと。高所での作業を得意とし,杭打機などの操作も行う。江戸時代には町火消し人足も兼ね,町内各家の松飾り祭礼の用意もした。

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百科事典マイペディアの解説

鳶職【とびしょく】

鳶,鳶の者,鳶人足とも。《守貞(もりさだ)漫稿》によれば江戸で仕事師,京坂で手伝いと呼んだ。土木工事の雑役にあたる人夫で,町方の火消人足も兼ねた。口を用いたためこの名がある。鳶職は平日も印袢纏(しるしばんてん)にめくら縞(じま)の腹掛け,股引(ももひき)に足袋(たび)のいなせな服装で,火事場には(かしら)の統率の下に秩序ある行動をとり,独特の男気があって,芝居や講談の題材となった。
→関連項目鳶口

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

鳶職
とびしょく

建築や土木工事の仕事師、または町火消の人足。鳶、鳶口、鳶の者ともいう。土木工事が増大した17世紀から、鳶口を使って普請場(ふしんば)で材木を動かす者で、梃子(てこ)を使って重い石を動かす梃者(てこのもの)と同様の日雇労働者をいう。町抱えや店(たな)抱えの者もあり、親方を頭(かしら)とよんだ。18世紀には町火消のなかに編入され、鳶口での破壊消防にあたった。平時は、普請の手伝い、足場掛け、土突(どうづき)や家内の小修理、町内の門松立てなどが仕事で、江戸では仕事師、上方(かみがた)では手伝ともいわれた。19世紀後半からは新しい消防組織の消防団員となり、平時の仕事は土木工事での仕事師のそれが中心となった。第二次世界大戦後はコンクリート造や高層建築が多くなってきて、その足場や鉄骨の組立てやコンクリート打ちが新しい仕事となり、建設機械も操作して、鳶職という職種を確立させてきた。消防の出初(でぞめ)における梯子(はしご)乗りや頭たちの木遣(きやり)はいまも残り、土木工事での地搗唄(じつきうた)もたまに聞くことができる。[遠藤元男]

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世界大百科事典内の鳶職の言及

【鳶】より

…建築や土木作業で足場の組立てなど雑務を行う者。鳶職,鳶の者,鳶人足,仕事師ともいう。トビという職名は,彼らが鳶口または鳶と称する樫棒の先に鋼鉄製の鉤(かぎ)をつけた道具を携行することに由来する。…

※「鳶職」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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