建築や土木工事の仕事師、または町火消の人足。鳶、鳶口、鳶の者ともいう。土木工事が増大した17世紀から、鳶口を使って普請場(ふしんば)で材木を動かす者で、梃子(てこ)を使って重い石を動かす梃者(てこのもの)と同様の日雇労働者をいう。町抱えや店(たな)抱えの者もあり、親方を頭(かしら)とよんだ。18世紀には町火消のなかに編入され、鳶口での破壊消防にあたった。平時は、普請の手伝い、足場掛け、土突(どうづき)や家内の小修理、町内の門松立てなどが仕事で、江戸では仕事師、上方(かみがた)では手伝ともいわれた。19世紀後半からは新しい消防組織の消防団員となり、平時の仕事は土木工事での仕事師のそれが中心となった。第二次世界大戦後はコンクリート造や高層建築が多くなってきて、その足場や鉄骨の組立てやコンクリート打ちが新しい仕事となり、建設機械も操作して、鳶職という職種を確立させてきた。消防の出初(でぞめ)における梯子(はしご)乗りや頭たちの木遣(きやり)はいまも残り、土木工事での地搗唄(じつきうた)もたまに聞くことができる。
[遠藤元男]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…建築や土木作業で足場の組立てなど雑務を行う者。鳶職,鳶の者,鳶人足,仕事師ともいう。トビという職名は,彼らが鳶口または鳶と称する樫棒の先に鋼鉄製の鉤(かぎ)をつけた道具を携行することに由来する。…
※「鳶職」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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