( 1 )挙例の「古事記」の歌謡から、食用にするシギを罠で捕ったことが知られる。田にいるシギの飛び立つ羽音を詠むこともあるが(「万葉‐四一四」、「神楽歌‐大前張・猪名野」など)、和歌や物語では、「古今集‐恋五」の「しぎの羽根掻き」を踏まえて、女の閨怨の譬えに多く用いる。秋の題とするのは、「天喜五年八月禖子内親王歌合」(一〇五七)が最古である。
( 2 )「我門のおくてのひたにおどろきてむろのかり田に鴫ぞ立つなる〈源兼昌〉」〔千載‐秋下〕のころから飛び立つ姿を詠むようになるが、歌では鳴き声を詠むことは稀である。
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報