(読み)フモト

デジタル大辞泉 「麓」の意味・読み・例文・類語

ふ‐もと【麓】

山の下の方の部分。山すそ。山麓さんろく
[類語]山麓山裾裾野山辺

ろく【麓】[漢字項目]

常用漢字] [音]ロク(漢)
山のすそ。ふもと。「岳麓山麓

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精選版 日本国語大辞典 「麓」の意味・読み・例文・類語

ふ‐もと【麓】

  1. 〘 名詞 〙 山のすそ。山麓。
    1. [初出の実例]「い行会の坂の踏本(ふもと)に咲きををる桜の花を見せむ児もがも」(出典万葉集(8C後)九・一七五二)

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普及版 字通 「麓」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 19画

(異体字)
16画

[字音] ロク
[字訓] ふもと・やまもり

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
声符は鹿(ろく)。〔説文〕六上に「山林を守るなり」とし、「一に曰く、林の山に屬(つづ)くを麓と爲す」という。〔左伝、昭二十年〕「山林の木、衡鹿(かうろく)之れを守る」の〔杜預注〕に「衡鹿は官名」とあり、鹿は麓、苑囿(えんゆう)をいう。木の繁茂する山麓に設ける。〔説文〕の重文を録している。卜文に金文がみえ、ともに人名に用いる。鹿・(ろく)同声であるから、通用するものと思われる。

[訓義]
1. ふもと。
2. やまもり、苑囿の官。
3. 大きな林。
4. 古文に作る。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕麓 不毛止(ふもと)〔和名抄〕麓 布毛度(ふもと)〔名義抄 フモト 〔立〕麓 フモト・ヤマノフモト

[下接語]
岳麓・嶽麓・岩麓・巌麓・深麓・翠麓・蒼麓・大麓・平麓・林麓

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日本歴史地名大系 「麓」の解説


ふもと

[現在地名]人吉市麓町

人吉城内西端に位置する武家町。西端に大手門があり、そこから城外へ通じる唯一の橋である大手橋がむね川に架かる。北側の球磨川に面する位置に人吉城の三ノ丸・二ノ丸・本丸がある。南は岩下いわした門を経て岩下馬場・とみと接する。町中央を麓馬場が東西に走り、東端はさかしたしん坂を経て、原城はらんじように通じる。町の中央東側に藩主の私生活の場である御館があり、それに付属する厩・大台所・蔵・金屋などの諸施設、武芸場の郷義ごうぎ館などもあり、その間に主として大身の武家屋敷が並んでいた。寛政一〇年(一七九八)の藩士分限帳(熊風土記)によれば、五〇〇石取相良金三郎・六〇〇石取米良主水をはじめ、万江主殿・井口門平・東伊右衛門・菱刈友右衛門ら一〇〇石以上を含む一六家の知行取がいた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「麓」の意味・わかりやすい解説


ふもと

府本府下とも書く。江戸時代薩摩藩の地方支配の中心地をいう。薩摩藩では家臣団の城下町集住が完全に行われず,身分的には武士であるが日常は農業に従事し,外城衆中 (とじょうしゅうちゅう) と呼ぶ郷士が在村していた。これら郷士の居住している地域が麓で,地頭仮屋,練武場などがあり,外城と呼ばれて数ヵ村または数十ヵ村から成る行政区画の中心となっていた。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【外城制度】より

…薩摩藩は藩主居城の鶴丸(鹿児島)城のほかに,領内を113の区画に割って,これを外城(普通には郷という)と呼んでいた。4人に1人は武士という過大人口の武士を扶持するために屯田兵制度をとったのであり,1615年(元和1)の一国一城令があるから,外城といっても城郭があるわけではなく,旧城跡の山麓かまたは城跡と無関係の平地に麓集落をつくっていた。しかし戦時には郷士は地頭指揮下に1軍団を形成したから,外城と呼んだのである。…

※「麓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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