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黒塚古墳 くろづかこふん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

黒塚古墳
くろづかこふん

奈良県天理市にある柳本古墳群の1つで,3世紀後半~4世紀前半に築造された前方後円墳。全長 130m。 1998年,三角縁神獣鏡 33面が副葬され,あわせて画文帯神獣鏡と刀剣数本が埋納されていたという報告が発表されて,邪馬台国畿内説を大いに力づけた。すなわち『魏志倭人伝』で述べられている,魏の皇帝が女王卑弥呼に与えた「銅鏡百枚」がこれであり,それが奈良盆地東南で大量に発見されたことは邪馬台国がここにあったことの証明であるというのである。これに対し,中国では1枚も見つかっていない三角縁神獣鏡が日本全体で 400枚も見つかっているのは日本製だからであり,畿内説を決定的に裏づけるものではないとする立場も依然として根強い。

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国指定史跡ガイドの解説

くろづかこふん【黒塚古墳】


奈良県天理市柳本町にある大和古墳群内の前方後円墳。大和古墳群は、北から萱生(かよう)古墳群、柳本古墳群、箸中(はしなか)古墳群に大別され、この古墳は中央の柳本古墳群に属し、近くには国指定史跡の櫛山古墳もある。黒塚古墳は前方部を西に向ける前方後円墳で、現状で全長132m、後円部径72m、前方部幅60mの規模をもち、2001年(平成13)に国の史跡に指定された。墳丘は一見良好に保存されているが、中・近世に城郭・陣屋として改変され、墳丘裾や表面は残っていない。主体部は、後円部墳頂の竪穴(たてあな)式石室で、南北17m以上、東西15m以上の方形の2段墓坑内に、主軸を墳丘主軸に直交させて構築され、石室の壁の下部は河原石積み、上部は板石を小口積みにして板石を持ち送り、天井をつくっている。副葬品は棺内と棺外に分けて納められており、棺内には画文帯神獣鏡1面、鉄刀、鉄剣、刀子が被葬者の上半身を囲むように、棺外北側には刀剣類・U字形鉄器が置かれた。そのほかにも三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)や、鉄鏃(てつぞく)、小札革綴冑、工具類、土師器(はじき)などが出土。副葬品の内容がきわめて豊富であることから、古墳時代前期の社会や政治状況を解明するために不可欠の古墳とされる。JR桜井線柳本駅から徒歩約5分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

黒塚古墳
くろづかこふん

奈良県天理市柳本(やなぎもと)町にある前方後円墳。1961年(昭和36)に奈良県により、児童公園の整備に伴う遊具設置のため、墳丘測量と前方部の発掘調査が行われた。さらに、97年(平成9)から98年に後円部に存在する竪穴(たてあな)式石室の調査が行われた。墳丘は主軸を東西にとり、前方部を西に向けている。全長130メートル、後円部径75メートル、前方部幅60メートルであり、後円部の高さは北側の周堀(しゅうぼり)から13.5メートルである。中・近世をとおして城郭として利用されてきたことから墳丘の改変がかなりある。1961年に行われた前方部の調査では埋葬施設は検出されず、後円部の中心に竪穴式石室が1基のみ存在する。石室の主軸は墳丘の主軸に直交する形で、南北にとっている。石室の規模は内法(うちのり)で南北8.3メートル、北側小口幅が1.3メートル、南側小口幅が0.9メートルであり、粘土棺床は長さ6.2メートルである。壁体構造は下半部が河原石を利用して垂直に積み上げ、上半部は板石を利用して持送り状に積み上げた特殊なものである。
 副葬品には、三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)33面、画文帯神獣鏡1面があり、いずれも舶載鏡である。その他にU字状鉄製品、鉄斧(てっぷ)、刀剣類、鎗、鉄鏃(てつぞく)、小札革綴(こざねかわとじ)手法による甲冑(かっちゅう)類、水銀朱を入れた土器類がある。奈良県における未盗掘の前期古墳の副葬品のセットとして、その資料的価値は高い。
 黒塚古墳は、奈良盆地の南東部に展開する大和(おおやまと)古墳群中の柳本支群に属し、櫛山(くしやま)古墳、崇神(すじん)陵(行燈山(あんどんやま)古墳)、アンド山古墳、南アンド山古墳、大和天神山古墳のある尾根の最先端に位置する。大和古墳群は、柳本支群に加えて、箸墓(はしばか)古墳の属する箸中支群、西殿塚古墳の属する萱生(かよう)支群から構成され、古墳時代前期のうちでもとりわけ前期前半ごろの古墳を多く含む。出土した34面の舶載鏡の存在とあわせて、その立地からも日本列島における国家形成の問題を考えるうえで重要な材料を提供した。[大塚初重・新井 悟]
『奈良県立橿原考古学研究所編『黒塚古墳』(1998・学生社)』

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