黒本(読み)くろほん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

黒本
くろほん

江戸時代中期~後期に行われた草双紙の一種。赤本のあとをうけて延享明和 (1744~72) 頃流行。名称は表紙の色に由来する。同時期の青本と作者も内容もほとんど差がないが,青本のほうがやや現実的。草双紙流行期の前期,中期には黒本が多く,後期には青本が多くなる。青本を黒本として出したり,その逆もあった。赤本を成人向きにしたもので,赤本同様絵が中心であるが,筋が複雑になっている。浄瑠璃筋書の絵草紙化,英雄伝,かたき討ち物,軍記物などがみられる。5丁を1冊とし,1編が2~3冊止りのものが多い。さらに筋書が複雑化し滑稽や風刺が強くなると黒本は減り,青本が増して,それが黄表紙へと発展,黒本は姿を消す。『富士浅間物語』 (46) ,『風流一対男』 (58) ,『浮世楽助一盃夢』 (62) ,『男色太平記』 (66) などがある。

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百科事典マイペディアの解説

黒本【くろほん】

草双紙の一種。赤本の成長したもの。青本と流行期も内容もほとんど同じで,18世紀の半ば以降。青少年向きの史話,伝説,物語など。黒表紙を用いる。代表作は《恋塚物語》《三鱗青砥銭》など。やがて安永期(1772年―1781年)に黄表紙へと展開。
→関連項目赤本黄表紙

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大辞林 第三版の解説

くろほん【黒本】

草双紙の一。赤本に次いで、延享(1744~1748)初年より行われ、宝暦・明和(1751~1772)の頃には青本とともに流行した絵本。中本で多くは五丁で一冊。表紙は黒色。歌舞伎・浄瑠璃・軍記物などから材をとり、青本と同一内容のものが多い。黒表紙。

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精選版 日本国語大辞典の解説

くろ‐ほん【黒本】

〘名〙 草双紙の一種。赤本に続いて現われた、黒い表紙を付けたもの。延享・寛延(一七四四‐五一)の頃青本と並んで江戸で流行した、絵を主体とする読物。歌舞伎や浄瑠璃のあらすじ、英雄伝や戦記などを主な題材とし、赤本よりもくわしい内容となっている。黒表紙。
[補注]内容と形態の点で、青本と共通する部分が多く、現代では両者を区別しないのが普通である。ただし、黒本の方がやや格が下がるような点も見られる。これは、青本で新板として出したものを、翌年、黒本としてそのまま再板したといった事情のほかに、黒本の方が、幼童向けの赤本の要素をより強く継承する傾向があったためでもあろう。

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