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赤本 あかほん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

赤本
あかほん

(1) 江戸時代中期に刊行された草双紙の一種。寛文寛延 (1661~1751) 頃,幼児童向きに江戸を中心に刊行。丹色表紙からきた呼称。初めは半紙半截の小型本で赤小本と呼ばれた。享保 (16~36) 頃から美濃紙半截の中型本となり,5丁1冊の型が定まる。本来正月に刊行され,おめでた気分にあふれたもので,平易な教訓とめでたい結末をもつ。絵が中心で,文はほんの添え物。初期の『桃太郎昔話』『ただとる山のほととぎす』などの童話物から,『さるかに合戦』のような説話物に進み,『なぞ尽し』『化物尽し』など玩具物,『大友のまとり』などの演劇物へと広がり,黒本青本へ成長した。作者は当初は無署名,のちに近藤清春羽川珍重らの画工が作者兼業として署名している。
(2) 明治期の少年向け講談本,落語本などをいう。赤表紙の小型本で紙質が悪かった。立川文庫などがその例。のちには一般に粗悪な本をさして赤本というようになった。

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デジタル大辞泉の解説

あか‐ほん【赤本】

《「あかぼん」とも》
草双紙の一。江戸中期、延宝から享保にかけて流行した子供向けの絵本。表紙が赤いところからよばれる。お伽話物が多い。→青本黒本
明治時代の少年向きの講談本。口絵・表紙が赤を主とした極彩色のものが多かった。
内容が低級で粗雑な本。
大学受験用問題集の一種。教学社が発行。大学別、またはさらに学部別に過去の入学試験問題が収録され、表紙が朱色であることからこう呼ばれる。

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百科事典マイペディアの解説

赤本【あかほん】

草双紙の一種。江戸で延宝・天和(1673年―1684年)ころから童幼向けに書かれた丹色(にいろ)表紙の絵本。享保ころまで続く。主作品は《桃太郎》《舌切雀》《はちかつぎ姫》《頼光山入》など。

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世界大百科事典 第2版の解説

あかほん【赤本】

江戸の地で刊行された中本型丹表紙・絵題簽(だいせん)貼付の初期草双紙。5丁1冊を単位とし,1ないし2冊で1編を構成,毎丁絵が主体を占め,これにほとんど平仮名の文を説明風に添える。この通常型の半分大のものに赤小本があり寛文(1611‐73)ころの発生,通常型赤本は宝永(1704‐11)ころに出,享保(1716‐36)ころ行われたらしい。題材は広く多種であるが,お伽話物,祝儀物,合戦物,演劇物,当世物等に大別でき,なかでも室町期物語の系を引くねずみの擬人化作品を多く見る。

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大辞林 第三版の解説

あかほん【赤本】

草双紙の一。1678年刊の「初春のいはひ」より起こり、享保・寛延(1716~1750)頃まで行われた。「桃太郎」「猿蟹合戦」などのお伽噺とぎばなし、芝居物あるいは双六すごろくなどの玩具物があり、絵が主体で、子供向けのもの。型は半紙半截はんさいだが、小型の「赤小本」、さらに小さく雛ひな祭りや玩具用といわれる「ひいな本」などがある。多くは赤い表紙の全五丁一冊本。赤表紙。
明治時代、赤を多用した表紙の少年向けの本。
俗受けをねらった低俗な単行本・雑誌の類。いかがわしい内容の本。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

赤本
あかほん

江戸中期の草双紙(くさぞうし)の一種。幼童向けの絵本で、表紙が丹色(にいろ)(赤)のためこの名がある。寛文(かんぶん)末年(1670ころ)より、江戸で正月に出版され、享保(きょうほう)(1716~1736)ごろより、大半紙半切の中本型、5丁(10ページ)1冊とする形式が定まり、これが以後の草双紙の定型となった。その読者対象から、平易な教訓とめでたい結末とが、素朴な挿絵に簡単な会話などの書き入れだけで描かれる。題材は「桃太郎」「舌切り雀(すずめ)」「鉢かづき姫」「頼光山入(らいこうやまいり)」などの昔話や御伽草子(おとぎぞうし)、浄瑠璃(じょうるり)本で、近藤清春、西村重長、羽川珍重らの画工が手がけている。なお、明治時代以降には、少年向きの講談本などを、表紙が赤を主体にした極彩色であったため、この名でよび、さらに転じて、内容、体裁ともに低級俗悪な本や縁日などで売られるいかがわしい本をいう。[宇田敏彦]

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世界大百科事典内の赤本の言及

【絵本】より

…そのころから江戸では出版が盛んになり,やがて赤表紙をつけた子ども相手の5~6枚の中本や小本が現れた。それは赤本と呼ばれて1678年(延宝6)のころから18世紀半ばにかけてもてはやされた。内容は昔話,歌,なぞ,年中行事,鳥獣談などである。…

※「赤本」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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