オーバーローン(英語表記)over-loan

デジタル大辞泉 「オーバーローン」の意味・読み・例文・類語

オーバーローン(overloan)

銀行の貸し出し額が、自ら預金額を超えること。日本では、日本銀行からの借り入れに常時依存している状態をいう。貸し出し超過。
所有している不動産を取得するための借入金残高が、その不動産の時価を上回っていること。その物件を売却してもローンが残ってしまう状態のこと。

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精選版 日本国語大辞典 「オーバーローン」の意味・読み・例文・類語

オーバー‐ローン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] overloan ) 銀行が預金を上回る貸出しを行なっていること。預金と自己資本の総額以上に貸出しや証券投資を行なっていることもさす。貸出過多。⇔オーバーボローイング

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改訂新版 世界大百科事典 「オーバーローン」の意味・わかりやすい解説

オーバーローン
over-loan

一般に銀行の貸出金が預金を超過している状態をいうが,より正確には,貸出しと証券投資の合計が預金,債券発行高,自己資本の合計を恒常的に上回り,この超過分がコールマネー売渡手形,日銀借入金などによってまかなわれている状態をいう。日本の銀行はすでに明治の中葉1880年代ごろからオーバーローンの状態にあったが,第2次大戦後は1950-60年の経済復興・成長過程において,これが表裏の関係にある企業のオーバーボローイングとともに表面化し,日本の金融構造の特色を形成することになった。これは,銀行とくに都市銀行は企業の旺盛な資金需要に対して積極的に貸出しに応じ,しかもその間,増大する民間の現金需要がおもに日銀貸出金によって供給されたことによるものであった。オーバーローンが問題となったのは,銀行経営の健全性の観点からだけではなく,金融政策の弾力的な運営をも制約することになったからである。62年11月,日本銀行はオーバーローンの累積を抑制する目的で,債券売買の活用と都市銀行に対する貸出限度額適用制度を内容とする新金融調節方式を実施した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オーバーローン」の意味・わかりやすい解説

オーバーローン
おーばーろーん
over-loan

絶対的資金不足の高度成長時代に典型的にみられた現象であり、民間金融機関のうち、とりわけ都市銀行が資本金と預金残高の合計を超えて貸付け、その不足分を恒常的に日本銀行からの借入れに依存すること。企業の旺盛(おうせい)な資金需要によるオーバーボローイングと人為的低金利政策が強力に推進された結果生じた。相対取引型間接金融の圧倒的優位、オーバーボローイング、資金偏在と並んで、高度成長時代の日本金融構造を特徴づけた。企業のオーバーボローイングを背景に、経営の健全性が損なわれて安易な日本銀行借入れと貸付態度が大幅な景気変動インフレーションの原因になったともいわれている。

 1980年代以降、資金余剰の定着、大企業の銀行離れ、資金調達の多様化の進行、新金融商品の登場、金融市場の整備・創設、金融機関間の競争の激化と経営効率の向上の要請などにより徐々に薄れ、現在では解消されている。

[金子邦彦]

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知恵蔵mini 「オーバーローン」の解説

オーバーローン(不動産)

不動産投資に際して、物件の購入費用に加えて登記費用や手数料などの諸費用まで含めて融資を受けることを指す。自己資金なしで不動産投資を始めることができるが、金利の負担も大きく、物件を売却してもローンは残る。多くの銀行は物件価格の8割から9割までの融資を限度としており、オーバーローンは審査基準を逸脱したリスクの高い融資である。オーバーローンに対して、物件の購入費用全体を借入金でまかなうが、諸費用は自己資金でまかなうことは「フルローン」と呼ぶ。

(2019-7-4)

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百科事典マイペディア 「オーバーローン」の意味・わかりやすい解説

オーバーローン

一般に銀行の貸出金が預金を超過している状態。正常な時代には,市中銀行の貸出額はその預金額を下回る一定の割合までを限度としている。資金需要が強く,この限度を越えて銀行貸出しが行われた場合をオーバーローンと呼ぶ。この場合,中央銀行借入金への依存率が大きくなるので,銀行の財務状況は一般に不健全な形になる。

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会計用語キーワード辞典 「オーバーローン」の解説

オーバーローン

銀行の貸し出しを含んだ全運用資金が預金と自己資本の合計額と比較して著しく大きく、その差額を中央銀行の貸し出しにより穴埋めしている状態のことをいいます。

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