脂肪組織(読み)シボウソシキ(その他表記)adipose tissue

デジタル大辞泉 「脂肪組織」の意味・読み・例文・類語

しぼう‐そしき〔シバウ‐〕【脂肪組織】

主として脂肪細胞が多く集まっている結合組織。主に脊椎動物にみられ、臓器周囲皮下などにあって、外部衝撃からの保護栄養貯蔵保温などの働きをする。

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精選版 日本国語大辞典 「脂肪組織」の意味・読み・例文・類語

しぼう‐そしきシバウ‥【脂肪組織】

  1. 〘 名詞 〙 動物体で脂肪細胞主成分とする結合組織ヒトでは臀部下腹部乳房などに著しく発達し、栄養の貯蔵や保温の役をする。

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改訂新版 世界大百科事典 「脂肪組織」の意味・わかりやすい解説

脂肪組織 (しぼうそしき)
adipose tissue

脂肪細胞が集まってできた組織で,パラフィン切片標本では包埋操作中に脂肪が有機溶媒に溶けるために明るく,ぬけて見える。それぞれの細胞の端に,圧平された核のみが認められる。脂肪細胞間には細網繊維が発達する。したがって,脂肪組織を,脂肪細胞を主とした細網組織とみなすこともできる。

 脂肪組織のよく発達しているのは,皮下組織,頰脂肪体,眼窩(がんか)脂肪体,腎臓の脂肪被膜,腸間膜,太い血管の外膜などである。脂肪組織の原基は一種の細網組織で,細網繊維の網眼に脂肪芽細胞(繊維芽細胞に似る)が存在する。これらの細胞に脂肪滴がたまると脂肪組織となる。ネズミコウモリの左右の肩甲骨のあいだには,褐色脂肪組織とよばれる褐色の特殊な脂肪組織がある。細胞内の脂肪滴が小さく散在する点とクリスタの緻密(ちみつ)な特有なミトコンドリアが多数認められることが褐色脂肪細胞の特色である。褐色脂肪組織は冬眠腺ともよばれてきた。急速な脂肪分解に際し大量の熱を供給することによって急速に体温が上昇し,動物は冬眠から覚める。褐色脂肪細胞には豊富な交感神経繊維が分布している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「脂肪組織」の意味・わかりやすい解説

脂肪組織
しぼうそしき
adipose tissue

結合組織の一種で全身にみられるが,特に皮下組織で発達している。主成分である脂肪細胞は,その内部に大きな脂肪塊を含み,核と原形質は片隅に押しやられている球形の細胞である。脂肪組織は諸器官をやわらかく包む役割を果しているほか,栄養を貯蔵し,食料補給がとだえたときなど重要なエネルギー供給源となる。また熱の不良導体であるため,体熱保存の機能も果している。外力に対して骨などの損傷を防ぐ効果もある。

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栄養・生化学辞典 「脂肪組織」の解説

脂肪組織

 脂肪細胞が集まって形成された組織で,腎臓周囲,精巣周囲などに多く分布している.

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