日本大百科全書(ニッポニカ) 「サイカチ」の意味・わかりやすい解説
サイカチ
さいかち
[学] Gleditsia japonica Miq.
マメ科(APG分類:マメ科)の落葉高木。高さ15メートルに達する。幹や枝に小枝が変形した太い分枝刺が多数ある。葉は偶数羽状複葉で束生するが、若い長枝につくものは2回羽状複葉で互生する。小葉は多数、ゆがんだ卵状長楕円(ちょうだえん)形で、長さ1.5~3センチメートル。夏、新葉をつけた短枝に長さ10~15センチメートルの総状花序をつけ、淡黄緑色の小さな4弁花を開く。雄花と両性花があり、雄しべ8本、雌しべ1本。豆果は広線形、長さ20~30センチメートル、扁平(へんぺい)でややねじれてゆがみ、褐色に熟す。山野や河原に生え、本州から九州に分布する。また庭園樹や街路樹とする。名は、古名の西海子(さいかいし)からの転訛(てんか)といわれる。中国名の皁莢(そうきょう)は、厳密には中国のシナサイカチ(トウサイカチ)G. sinensis Lam.であって、サイカチにあてるのは正しくない。シナサイカチは花に長柄があり、豆果がねじれない。漢方ではこれらの豆果や刺(とげ)を去痰(きょたん)などに用いる。
[立石庸一 2019年10月18日]