16世紀にイギリスのウェールズ地方で始まった毛織物。フラノは日本での略称。ネルとも呼び,綿ネルに対して本ネルという。経糸にやや強めの撚りをかけた紡毛糸,緯糸は甘撚りの紡毛糸を用いるが,経糸に梳毛糸(そもうし)や綿毛の混紡糸を使ったものもある。織り上げた後,軽く縮絨し,片面,または両面に起毛仕上げをして毛羽を立たせる。手ざわりが柔らかく弾力があり,保温性に富む。平織で軽い起毛のものを英ネル,綾織のよく起毛したものをドイツネルと呼ぶ。白地,無地,縞もの,霜降りなどがあり洋服地,和装地に使われる。産地はほとんど尾州地方(愛知県一宮市など)である。綿ネルは緯糸に綿の太めの甘撚糸を使ったもので,同様に起毛をし,肌着,ねまきなどに用いられる。
執筆者:宮坂 博文
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