人間万事塞翁が馬(読み)ニンゲンバンジサイオウガウマ

デジタル大辞泉 「人間万事塞翁が馬」の意味・読み・例文・類語

人間にんげん万事ばんじ塞翁さいおううま

塞翁さいおうが馬

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精選版 日本国語大辞典 「人間万事塞翁が馬」の意味・読み・例文・類語

にんげん【人間】 万事(ばんじ)塞翁(さいおう)が馬(うま)

  1. 人間吉凶禍福は、転変きわまりがないことをいう。→塞翁が馬
    1. [初出の実例]「然るに世の中は、人間万事塞翁(ニンゲンバンジサイオウ)が馬(ムマ)なれや」(出典:大観本謡曲・綾鼓(室町末))
    2. [その他の文献]〔熙晦機‐寄径山虚谷陵和尚詩〕

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故事成語を知る辞典 「人間万事塞翁が馬」の解説

人間万事塞翁が馬

一見、不運に思えたことが幸運につながったり、その逆だったりすることのたとえ。幸運か不運かは容易に判断しがたい、ということ。

[使用例] 所が人間万事塞翁の馬、七転び八起き、弱り目にたたり目で、ついこの秘密が露見に及んでついにかみの御法度を破ったと云うところで、重き御仕置に仰せつけられそうになりました[夏目漱石吾輩は猫である|1905~06]

[使用例] 君がくよくよすることはないよ。人間万事塞翁が馬さ。よくなるものはよくなる[円地文子食卓のない家|1979]

[由来] 「淮南子じんかん訓」に載っている話から。中国の北端国境の「塞(とりで)」の近くに、占いが得意な「翁(老人)」が住んでいました。あるとき、彼の飼っていた馬が逃げてしまったので、みんなが同情しましたが、彼は「これは幸運が訪れる印だよ」と言います。そして、そのとおり、逃げた馬は立派な馬を連れて帰ってきました。そこでみんなが祝福すると、今度は「これは不運の兆しだ」と言います。実際、しばらくすると彼の息子がその馬から落ち、足の骨を折ってしまったのです。またみんなが同情すると、彼の答えは、「これは幸運の前触れだ」。息子はその怪我のおかげで、戦争に行かずにすんだのでした。

[解説] ❶この老人は未来を見通す術を身につけていたわけですが、それでも不運を防げなかったというのは、人間の限界なのでしょうか。❷「人間」を「じんかん」と読み、「世の中の運不運は見極めがたい」という意味だとする解釈もあります。❸「禍福は糾える縄のごとしも、同じ意味を表す故事成語です。

〔異形〕人生万事塞翁が馬/塞翁が馬/塞翁の馬。

人間万事塞翁が馬

[参照] 人間万事塞翁が馬

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ことわざを知る辞典 「人間万事塞翁が馬」の解説

人間万事塞翁が馬

人生で遭遇することの吉凶や禍福は、変転きわまりなく、容易にさだめがたい。一見悪いことがよいことにつながり、逆によさそうなことが悪しきことにつながっていく。「塞翁が馬」ともいう。

[使用例] 農夫は憐れに思った様子で、懐から財布を取り出しいくらかの金を与え、「人間万事塞翁の馬。元気を出して、再挙を図るさ。人生七十年、いろいろさまざまの事がある。人情は翻覆して洞庭湖の波瀾に似たり」と洒落たことを言って立ち去る[太宰治*竹青|1945]

[解説] 「淮南子―人間訓」の次のような故事によることば。中国の北の国境に住む老人(塞翁)は占いをよくした。彼の飼っていた馬が胡の国へ逃げてしまい、皆が慰めたが、老人はそれを幸運の訪れと予言し、そのとおり、後にその馬は胡国からりっぱな馬を連れて帰ってきた。皆が祝福すると、老人はこれを不運の兆しだという。実際、その後、老人の子がその馬から落ちて足の骨を折ってしまう。そこで、皆が慰めると、今度は、これが幸運のしるしだという。息子はそのけがのために、後に戦争に行かずにすむのである。

[類句] 禍福は糾える縄の如し

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