刑務所において、服役中の囚人に対して、過ちを悔い改め徳性を養うための道を説く者。多くは宗教家がこれに任ぜられる。日本ではとくに真宗の僧が多く行っている。1872年(明治5)真宗大谷派仰明寺対岳(ごうみょうじたいがく)が、管長を経て教部省へ囚徒教誨を出願し、教誨を開始したことに始まる。囚徒教誨に対する行政当局の見解は、1881年の「監獄則」に「已決囚(いけつしゅう)及ビ懲治人(ちょうじにん)教誨ノ為メ教誨師ヲシテ悔過遷善(げかせんぜん)ノ道ヲ講ゼシム」とあるような教化主義や、1885年8月内務卿山県有朋(やまがたありとも)が府県長官にあてた通達のなかの、教誨訓導よりも懲戒駆役(ちょうかいくえき)の労苦を課す懲罰主義の要請などにみることができる。このような歴史的情況のなかで真宗大谷派と本願寺派は、1882年から1899年にかけて教誨師養成機関の整備と監獄教誨に力を注いだ。僧侶(そうりょ)の囚徒教誨内容は、四恩報謝(しおんほうしゃ)、真俗二諦(しんぞくにたい)、因果応報(いんがおうほう)の教説であった。全国教誨師連盟によると、仏教系の教誨師数は、全国教誨師数1840人中1202人、65%(2019年1月時点)で、他宗教に比して高い率を示している。
[池田英俊]
『本願寺大谷派編『日本監獄教誨史』上下(1900・法蔵館)』▽『吉田久一著『日本近代仏教社会史研究』(1964・吉川弘文館)』▽『小林弘忠著『巣鴨プリズン』(中公新書/中公文庫)』
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…説教,礼拝,法要その他の宗教行事に集団で参加する形態と,個別的に宗教的慰謝を受ける形態とがある。 大日本帝国憲法下の日本では,〈受刑者ニハ教誨ヲ施ス可シ〉と規定する監獄法29条により,刑務所職員として教誨師を配置し,強制的に宗教教誨を行っていた。第2次大戦後は,信教の自由を保障し,国およびその機関の宗教的活動を禁じている日本国憲法の下で,宗教教誨にわたらぬ一般教誨のみが同条により許され,宗教教誨はすべて民間宗教家の手にゆだねられた。…
※「教誨師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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