地質学の用語の一つ。地殻は、プレート運動、花崗(かこう)岩などの広範な貫入や火山帯の形成にみられる火成活動、山脈規模の重力滑動などによって、つねに変形し破壊にさらされている。その結果は大小の断層として地表にも現れている。これらの断層のなかでとくに大規模なもの、すなわちその延長が100キロ~数千キロメートルに及ぶ大断層を構造線とよぶことがある。地質学では古い用語なのだが、中央構造線、仏像構造線のように断層名として定着しているものは、現在でも使われている。欧米ではそのような大断層であっても単に「○○断層」「○○衝上(しょうじょう)断層」などとよぶのが一般的である。また、地表においては認められないが、重力異常や磁気異常などによって地下に大断層が推定される場合、それを○○線とよぶことが多い。このような大断層による地層のずれの量は一般に数キロ~数百キロメートルにわたるため、断層を境にしてまったく性質(岩種、時代、地質構造など)の異なる地層が接することになる。大断層には、横ずれ断層、衝上断層、逆断層、正断層などがある。構造線には1億年以上にもわたる運動史をもつものもあり、その間にずれ方がさまざまに変化する場合がある。
日本における構造線としては中央構造線がもっとも有名であり、1億年以上にもわたる運動史のなかで、白亜紀中期~後期の衝上断層、白亜紀最後期の正断層、古第三紀の成分をもった左横ずれ断層、第四紀の右横ずれ断層など、変位の向きがさまざまに変化してきた。このほかに地表に現れているものとしては、秩父帯(ちちぶたい)と四万十(しまんと)帯の境界をなす衝上断層としての仏像構造線、衝上断層、横ずれ断層などが複合した糸魚川(いといがわ)‐静岡構造線などがあり、地表には現れていないが重力異常によって推定されるものとしては盛岡‐白河線がある。
[吉田鎮男・村田明広]
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