デジタル大辞泉
「玉水」の意味・読み・例文・類語
たま‐みず〔‐みづ〕【玉水】
1 清らかな水、また、滝。
2 雨だれなどの水滴の美称。
「軒の―の音も楽しい」〈藤村・千曲川のスケッチ〉
「雨やまぬ軒の―数知らず」〈後撰・恋一〉
京都府綴喜郡井手町にあった、井手の玉川。[歌枕]
「いかにせむうさのつかひは許されず恋しき人はいでの―」〈実方集〉
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たま‐みず ‥みづ【玉水】
[1] 〘名〙
① (「たま」は美称) 清らかな水、または滝。
※
万代(1248‐49)秋下「月影のやどりてみがく玉水の玉津都に秋風ぞふく〈藤原道家〉」
② 特に、あまだれなどの水滴の美称。軒さき、木の葉などから落ちる
しずく。
※後撰(951‐953頃)恋一・五七八「雨やまぬのきの玉水かずしらず恋しき事のまさるころ哉〈平兼盛〉」
[2]
[一]
山城国(京都府)綴喜郡井手町にあった井手の玉川。歌枕。
※伊勢物語(10C前)一二二「山城の井手のたま水手にむすびたのみしかひもなき世なりけり」
[二]
謡曲。四番目物。廃曲。作者
未詳。都見物の
東国の旅僧が春日神社へ
参詣の途中、井手の玉水のあたりで、橘清友と契った水汲み女の霊に会い、昔物語を聞き、その跡を弔う。やがて清友と女が
本性を現わして僧の仏事によって成仏する。
[三] 江戸時代の
売薬の一つ。江戸神田松田町(東京都千代田区鍛冶町二丁目)に本舗のあった
湿疹の薬。
※
狂歌・
江戸名所図会(1856)二「しっかきのいちかり股で来る客をまつだ町にてひさぐ玉水」
ぎょく‐すい【玉水】
〘名〙 (「玉」は美称) 清らかな水。
※
本朝無題詩(1162‐64頃)三・秋月詩〈
藤原明衡〉「曲沼霧収迷
二玉水
一、寒松煙滅似
二花林
一」 〔王僧孺‐
朱鷺〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
玉水 (たまみず)
中世の小説。別名《紅葉合(もみじあわせ)》。著者,成立年未詳。花園に遊ぶ姫君の姿をひと目見て恋に落ちた狐は,身を人間の女子に変えて,その姫に仕えるようになり,名を〈玉水の前〉と付けられる。玉水には,犬を嫌うなど奇妙な振舞いもみられたが,かなわぬ恋を忍びつつも,姫に親しく仕えていた。ある年,紅葉の美しさを競う紅葉合が開かれるにあたり,玉水は兄弟の狐にすばらしい紅葉をみつけてもらい,姫を勝利に導くが,その評判がかえって帝の知るところとなり,姫の入内が決まる。姫を恋う玉水は,内心それを喜ばず,悩んだ末に今までの経緯を記した書置を残して姿を消す。それを読んで姫はすべてを知り,玉水の心根を哀れに思うという内容。
執筆者:上野 英二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
たまみず【玉水】
福岡の日本酒。酒名は、きれいな印象の酒を造りたいという思いから命名。主力の普通酒のほか、大吟醸酒がある。仕込み水は飯江(はえ)川の伏流水。蔵元の「玉水酒造」は明治11年(1878)創業。所在地はみやま市高田町舞鶴。
出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報