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1876年熊本で起こった保守的士族の明治政府への反乱。敬神党の乱ともいう。敬神党(神風連)は1872年(明治5)ころ,太田黒伴雄(大野鉄平)や加屋霽堅(はるかた)らが熊本に組織したもので,彼らは保守的・国粋主義的立場から明治政府の開明政策に反対し,腰に長剣を帯び,頭に髻(もとどり)を束ね,烏帽子をかぶり,神道を尊崇し,外人を嫌忌し,復古的排外主義を主張した。この地には池辺吉十郎らの国権党や宮崎八郎に代表される民権党もあり,主義主張は異にしていたが,共に反政府の立場をとっていた。73年に白川県権令(のち県令)として熊本に赴任した安岡良亮のもとでは敬神,国権両党は小康を保っていたが,76年3月28日の廃刀令が敬神党の不平と暴発を引き起こした。すなわち敬神党は10月24日夜,総数約200人が藤崎神社に集結し,7隊に分かれて兵営,県庁を襲撃し,鎮台司令官種田政明陸軍少将と安岡県令を殺害した。熊本の急はただちに東京に飛電され,翌日早くも鎮台兵に逆襲された反乱勢は衆寡敵せず,太田黒や加屋は死し,他の者も死んだり捕縛された。報に接した政府は陸軍少輔大山巌,内務少輔林友幸を派遣したが,その到着前に鎮台兵によって鎮圧された。しかし神風連の乱勃発3日後には秋月の乱(福岡県)が起こり,また神風連の乱の翌々日には萩士族が山口明倫館に集合し,やがて萩の乱になり,さらに翌77年の西南戦争へと波及したことを考えれば,神風連の乱が一連の士族反乱に及ぼした影響は大きいといえる。
執筆者:田中 彰
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1876年(明治9)10月24日、政府の開明政策に反対して熊本で蜂起(ほうき)した保守派士族の反乱。士族反乱の一つ。神風連(敬神党ともいう)は、1872年肥後(ひご)勤王党から保守派・攘夷(じょうい)主義者が分かれて結成され、以後神慮(ウケヒという)によって行動を決し、反政府蜂起の機をうかがっていたが、76年3月廃刀令(帯刀禁止令)が発せられるに及んで党内は激高し、ついに同年10月24日決起の神慮を得た。この日未明、太田黒伴雄(おおたぐろともお)、加屋霽堅(かやはるかた)を中心に170余名が熊本鎮台、県令宅、県民会議議長宅などを襲い、鎮台司令官種田政明、県令安岡良亮(よしすけ)などを殺害した。しかし鎮台兵の反撃にあい、太田黒、加屋らは戦死、86名は金峰山(きんぽうざん)頂で自刃し、残りは捕縛されて、翌25日に乱は鎮定された。
[猪飼隆明]
『黒龍会編・刊『西南記伝 上巻2』(1908)』▽『石原醜男著『神風連血涙史』(1935・大日社)』
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敬神党(けいしんとう)の乱とも。1876年(明治9)10月に熊本の敬神党がおこした士族反乱。神風連の呼称は敬神党が元寇のときの神風の故事を強調したことによる。肥後勤王党保守派の流れをくむ敬神党は,国学者林桜園(おうえん)の神道に心酔,国粋保存を主張して政府の欧化主義政策を激しく非難し,秋月や萩の不平士族とも気脈を通じていた。76年3月に廃刀令が発布されると,国体を損なうものとして10月24日に太田黒伴雄(ともお)ら170人余が決起し,熊本鎮台司令官種田政明と熊本県令安岡良亮(りょうすけ)を殺害して鎮台を一時占拠したが,翌日鎮圧されて党員の多くは戦死あるいは自刃した。秋月の乱・萩の乱など一連の士族反乱を誘発する事件となった。
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…70年民部大輔,71年民部卿,のち初代文部卿となり近代教育制度の基礎を築いた学制の発布に尽力し,また教部卿を兼任した。73年参議となり征韓論に反対し,大久保利通政権では参議兼司法卿として活躍,76年の萩の乱,神風連の乱後現地で処刑を指揮した。80年参議専任となるが,81年明治14年の政変以後ふたたび兼任,以後文部卿,元老院議長,枢密院議長(2度),山県有朋内閣の法相,第1次松方正義内閣の文相を歴任。…
…国学者林桜園に学び,〈わが古俗を尊び,欧風日々に我国に伝承せらるるを不快〉として,73年ごろ神道主義的保守政治をめざし神風連(敬神党)を組織。76年佩刀(はいとう)禁止令に反対して,10月24日同志170余名と熊本に挙兵(神風連の乱),鎮台司令官,県令を斬ったが,みずからも傷を負い同志数人と自刃した。【後藤 靖】。…
※「神風連の乱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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