舞楽および能のかぶり物。舞楽では《鳥甲》とも書く。形状は鳳凰(ほうおう)の頭をかたどったとされ,頂が前方にとがり,錏(しころ)が後方に突き出したもの。舞楽の鳥兜は厚紙を素材とし,その表に赤・緑・紫の金襴を張り,縁を組紐でとじ,側面に丸に五七の桐の透し彫を施した円形金銅金具をつけ,八つ打ちの紐をあご下で結ぶ。裏には紅絹(もみ)が張ってある。管方(かんかた)の常装束として用いるほか,《万歳楽》《承和楽》《北庭楽》《甘州》《裹頭楽(かとうらく)》《一曲》《振鉾(えんぶ)》《延喜楽》《仁和楽》などに用いる。能の鳥兜も舞楽のものと同型で錦で作られる。《白髭(しらひげ)》《大社(おおやしろ)》《道明寺》《梅枝(うめがえ)》《富士太鼓》などのシテに用いる。民俗芸能の中にも神楽,王の舞などに鳥兜を使用するものがあり,《三十二番職人歌合》に千秋万歳が鳥兜をつけて舞っている姿がある。
執筆者:羽田 昶
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
…(12)烏皮沓(うひぐつ∥くりかわくつ) 曲目によって牛革で作られた種々の沓があり,《胡飲酒》《新靺鞨(しんまか)》《採桑老》,また〈久米舞〉等で用いられる。(13)頭装 兜(甲)(かぶと)は通常多く用いるものに鳥兜(甲)(とりかぶと)がある。厚紙に金襴を張り,鳳凰の頭にかたどったといわれる華麗な甲で裏は紅絹,左方,右方の別がある。…
※「鳥兜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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