戦略(読み)センリャク(その他表記)strategy

翻訳|strategy

デジタル大辞泉 「戦略」の意味・読み・例文・類語

せん‐りゃく【戦略】

戦争に勝つための総合的・長期的な計略スポーツ試合においても用いる。→戦術
組織などを運営していくについて、将来を見通しての方策。「経営戦略欠陥」「戦略人生論」「販売戦略を立てる」
[補説]具体的・実際的な「戦術」に対して、より大局的・長期的なものをいう。
[類語]戦術戦法軍略三十六計

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精選版 日本国語大辞典 「戦略」の意味・読み・例文・類語

せん‐りゃく【戦略】

  1. 〘 名詞 〙
  2. いくさのはかりごと。特に、戦いに勝つための大局的な方法や策略。戦術より上位の概念。
    1. [初出の実例]「氏康乃談其戦略」(出典:日本外史(1827)一一)
    2. 「戦略(センリャク)戦術の書を除く外、一切の書を読まない」(出典:余興(1915)〈森鴎外〉)
    3. [その他の文献]〔鄭畋‐授武臣寧節度使制〕
  3. ある目的を達成するために大局的に事を運ぶ方策。特に、政治闘争、企業競争などの長期的な策略。
    1. [初出の実例]「御返事次第にて直様戦略を講ずべく候」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵〉虚業家尺牘数則)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「戦略」の意味・わかりやすい解説

戦略
せんりゃく
strategy

最も広義には敵対的な政治集団間の闘争の技術をいう。戦略の語源ギリシア語 stratēgosから派生したもので,「将軍の術」を意味した。この言葉が軍事上の意味で広く使われるようになったのは 18世紀末からで,以後次第に本来の軍事的意味からはるかにかけ離れて用いられるようにもなった。政治闘争上の戦略とは綱領的な基本目標によって設定される闘争の一般的方向性をいい,戦術とは戦略に基づく個々の具体的な場面における判断や闘争の技術のことをいう。普通は次の3種の戦略を含めたものをいう。 (1) 作戦戦略 作戦目的を達成するため高次観点から大規模な作戦部隊を運用する方策をいう。戦略という言葉が用いられはじめた 18世紀末,K.クラウゼウィッツは「多くの戦闘を連合して戦争の目的を達せしめるのが戦略であり,一つの戦闘を計画し実施するのが戦術である」と定義している。 (2) 軍事戦略 戦争目的を達成するために国の軍事力その他諸力を準備し計画し運用する方策。 (3) 国家戦略 (大戦略)  国家目標の達成,特に国家の安全を保障するため,平時戦時を通じて国家の軍事,政治,経済などの諸力を総合的に発展させ,効果的に運用するための方策。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「戦略」の意味・わかりやすい解説

戦略
せんりゃく
strategy

戦術の上位概念として、一般に師団やそれ以上の大戦闘単位の軍事行動を計画・組織・遂行するための通則をさす。国家戦略や企業戦略のように非軍事的な分野に応用されることも多い。

[編集部]

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世界大百科事典(旧版)内の戦略の言及

【核戦略】より

…第2次世界大戦の終末期に広島,長崎で使用された核兵器は,在来の兵器に比べてけたはずれの破壊力を持つために,旧来の戦略思想を一変させた。核兵器はその巨大な破壊力のために〈究極兵器〉と呼ばれ,その使用は人類の破滅につながるので,戦争はできなくなったと見るものまでいた。…

【ゲーム理論】より

…それは自然の法則や社会的条件によって制約されたもので,各プレーヤーは自分のもつとりうる行動から,いくつかの行動計画を立てるのが普通である。この行動計画を戦略と呼ぶ。(3)時間要素と初期状態 ゲームが1回限りのものか,何段階にもわたって行われるものか,また終了時点が定まっているかなども,ゲームを定める重要な要素である。…

【戦法】より

…〈戦法〉の語は古くからあり,一般には〈たたかい,戦争の方法〉〈戦闘,競技,勝負事などのやり方〉〈戦術〉という意味で使用されるが,旧日本軍の軍用語としては海軍で多用された。荻生徂徠の《鈐録(けんろく)》(1855)や《幕僚参謀服務綱領》(1873)に〈戦略〉の語とともに〈戦法〉の語が使用されているが,旧日本陸軍では,そののち西洋兵学の流入にともない,strategy,Strategie,stratégieおよびtactics,Taktik,tactiqueの訳語として〈戦略〉〈戦術〉の語が兵術用語として定着し,〈戦法〉の語は明治中期以降〈戦術〉とほぼ同義,あるいは〈戦術〉から行軍,宿営等にかかわる分野を除いた〈戦闘法〉の意味で慣用されてきた。陸軍ではこの語に〈兵を使用し戦を作すの方法〉(参謀本部《日本古戦法》1924)というような説明以外,特に定義したものはない。…

※「戦略」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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