4-O-β-D-galactopyranosyl-D-glucose.C12H22O11(342.30).乳糖ともいう.D-グルコースの4位にD-ガラクトースがβ-グリコシド結合した還元性の二糖.すべてのほ乳動物の乳汁中に5% 前後含まれており,モクセイ科植物,ナツメヤシなど2,3の植物にも存在する.牛乳から脂肪およびチーズをとった残りの乳清を濃縮して,結晶化させて製造する.α-アノマーの一水和物は融点202 ℃.+85→+52.6°(水).β-アノマーは融点252 ℃.+34.9→+55.4°(水).前者は常温で,後者は93 ℃ 以上で晶出させると得られる.生体中ではUDP-ガラクトースのガラクトシル基がグルコースに転移して合成される.特殊なラクトース酵母で発酵されて乳酸を生じ,各種の乳酸菌の栄養源となる.散薬の希釈剤や錠剤の賦形剤などの薬用,乳製品添加剤,乳酸発酵用などの食用として広く用いられる.[CAS 63-42-3]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
グルコースとガラクトースからなる二糖で、天然には4-O-β(ベータ)-D-ガラクトピラノシル-D-グルコピラノースとしてみいだされ、乳糖ともよばれる。哺乳(ほにゅう)類の乳汁成分として存在し、とくに初乳中に多く含まれる。人乳中では6~7%にも達し、このほかにも10種類以上の少糖が含まれているが、いずれもラクトースを骨格構造としてもっている。また、乳汁以外にはあまりみいだされていないが、植物の種子でいくつかの報告がある。
ラクトースの分解はラクターゼによって行われるが、一方、生合成は乳腺(にゅうせん)内でUDP(ウリジン二リン酸)-ガラクトースからガラクトースを転移する反応により生成される。この転移反応を触媒する酵素は、乳汁や乳腺中にみいだされるガラクトシルトランスフェラーゼで、アロステリックタンパク質の一種である。この酵素はα(アルファ)-ラクトアルブミン(血清タンパク質の一種)を結合するときにグルコースを受容体としてラクトースを合成するが、この酵素だけの場合はグルコースではなく、N-アセチルグルコサミンにガラクトースが転移されてN-アセチルラクトサミンが生成される。これは生物のもつ調節機構の一例であり、出産後にはα-ラクトアルブミンが増加して、乳児に必要なラクトースの合成が促進される。なお、ラクトースは腸のラクターゼによって加水分解されたのち吸収される。
[村松 喬]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…少糖は単糖が2~20個程度,多糖はさらにそれ以上結合したものである。単糖の例としてはブドウ糖(グルコース),ガラクトース,また少糖の例としてはグルコースが2分子結合した麦芽糖(マルトース),グルコースと果糖(フルクトース)が結合したショ糖(砂糖),グルコースとガラクトースが結合した乳糖(ラクトース)をあげることができる。多糖にはデンプン,グリコーゲン,セルロースなどがある。…
…ラクトースlactoseともいう。哺乳類の乳汁中に存在する糖で,乳汁中の糖のほとんどを占めている。…
※「ラクトース」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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