南国(読み)ナンゴク

デジタル大辞泉 「南国」の意味・読み・例文・類語

なん‐ごく【南国】

南方の国。南方の地方南州。「南国の生まれ」
江戸城の南にあったところから》品川遊郭異称新吉原の「北国」に対していう。南。南州。
[類語](暖国

なんこく【南国】

高知県中部の市。土佐湾に面する。土佐国府国分寺跡がある。人口4.9万(2010)。

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精選版 日本国語大辞典 「南国」の意味・読み・例文・類語

なん‐ごく【南国】

[1] 南方の国。また、南方の土地。南州。
経国集(827)一一・賦桃応令〈賀陽豊年〉「武陵仙蕚本紛々、南国容花未云」 〔詩経小雅
[2] 江戸、品川遊里の異称。吉原を北国というのに対していう。南州。
洒落本・契国策(1776)南方「あれは談義僧にて、南国へ度々かよふ」

なんこく【南国】

高知県中央部の地名高知平野の物部川下流域にある。古くから開発され、律令制下の土佐国の国府が置かれ、奈良時代には国分寺が置かれた。県下第一の米作地帯。施設園芸酪農も行なわれる。篠原特別天然記念物オナガドリの飼育地。昭和三四年(一九五九)市制。

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改訂新版 世界大百科事典 「南国」の意味・わかりやすい解説

南国[市] (なんこく)

高知県中東部の市。1959年市制。人口4万9472(2010)。市域は高知平野東部の香長(かちよう)平野から北部の山地にかけて広がり,南は土佐湾に面する。東端を南流する物部川右岸の沖積低地に田村遺跡がある。弥生時代の集落遺跡で,多数の土器,石器とともに水田や環濠の遺構,銅鐸などが発見されている。平野周辺の丘陵には古墳が点在し,平野全域には条里制の遺構がみられる。平野北部,南西流する国分川北岸は古代の土佐国府の地に比定され,近くには国分寺や総社,国司であった紀貫之の邸跡と伝える地がある。また戦国期,土佐を統一した長宗我部元親の居城岡豊(おこう)城があった。近世前期,土佐藩執政野中兼山は郷士を起用して国分川南岸の長岡台地を開発,在郷町の後免(ごめん)町が形成された。後免(御免)の名は諸税を免除する特典を与えられたことに由来する。また舟入(ふないれ)川が開削されて広大な農地を灌漑し,物資が高知城下に運ばれた。肥沃な穀倉地帯で,かつては米の二期作地帯として知られたが,現在はナス,キュウリ,ピーマンなど野菜の促成栽培やタバコ栽培が盛ん。農機具工場などが立地するほか,石灰石の採掘も行われる。篠原(しのはら)は尾長鶏(特天)の原産地として知られる。物部川河口右岸にある高知空港は,旧海軍航空基地を1954年民間空港として開設したもので,83年以来ジェット機が就航している。JR土讃線と国道32号線,55号線,195号線,高知自動車道が通る。
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