日本芸術院賞(読み)ニホンゲイジュツインショウ

デジタル大辞泉 「日本芸術院賞」の意味・読み・例文・類語

にほんげいじゅついん‐しょう〔ニホンゲイジユツヰンシヤウ〕【日本芸術院賞】

すぐれた業績を残した芸術家に対して、日本芸術院が毎年贈る賞。昭和16年(1941)帝国芸術院賞として創設、昭和22年(1947)に改称。→恩賜賞

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本芸術院賞」の意味・わかりやすい解説

日本芸術院賞
にほんげいじゅついんしょう

芸術推奨機関である日本芸術院が優れた芸術家に贈る賞。1941年(昭和16)に「帝国芸術院賞」として創設され、1947年に現在の名称となった。美術(日本画、洋画彫塑、工芸、書、建築)、文芸(小説・戯曲、詩歌、評論・翻訳)、音楽・演劇舞踊(能楽、歌舞伎(かぶき)、文楽(ぶんらく)、邦楽、洋楽、舞踊、演劇)の各分野について、優れた作品を創作した人や芸術の顕著な進歩に貢献した人を表彰する。日本芸術院会員(定員120人)が候補を推薦し、選考委員会で決定し、毎年6月の授賞式で日本芸術院長から賞状賞牌(しょうはい)・賞金を贈る。とくに顕著な功績をあげた人には、天皇から恩賜賞が同時に贈られる。経費は皇室の下賜金でまかなわれ、授賞式には原則として天皇・皇后が出席する。戦中・戦後の一時期を除き、毎年授与されている。日本芸術院会員以外から選ばれるが、受賞後、多くが日本芸術院会員(終身年金250万円支給)となる。

 これまでに洋画の小磯良平(こいそりょうへい)、日本画の東山魁夷(ひがしやまかいい)、建築の黒川紀章(きしょう)、小説の川端康成(かわばたやすなり)、詩歌の高村光太郎(こうたろう)、俳句中村草田男(くさたお)、評論の小林秀雄、作曲の團伊玖磨(だんいくま)、指揮の小沢征爾(せいじ)、ピアノの中村紘子(ひろこ)(1944―2016)、歌舞伎の9世松本幸四郎(こうしろう)、能の6世野村万蔵(まんぞう)、新劇の杉村春子、バレエの森下洋子、映画の小津安二郎(おづやすじろう)らが受賞している。

[矢野 武 2021年1月21日]

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知恵蔵 「日本芸術院賞」の解説

日本芸術院賞

芸術上の功績が顕著な芸術家を優遇するための栄誉機関、日本芸術院が毎年授与する賞。第1回目の実施は1941年。日本芸術院の会員以外で、優れた芸術作品を制作した人、および明らかに芸術の進歩に貢献する業績がある人に贈られ、賞状、賞牌、賞金が出る。
戦前は帝国芸術院賞と呼ばれた。日本芸術院賞を受賞した人の中からさらに選ばれる恩賜賞がある。恩賜賞、日本芸術院賞ともに、授賞式は毎年6月に行われ、天皇皇后両陛下も出席する。戦中、戦後の一時期を除いて毎年授与されており、2008年度(09年6月挙行)で第65回を迎える。
毎年1月中に日本芸術院の会員が候補者を推薦し、やはり会員で構成される選考委員会でさらに選考が行われる。選ばれるジャンルは日本画、舞踊、音楽、建築、彫塑、小説など幅広い。08年度の受賞者には作家の井上ひさし、能楽シテ方の観世銕之丞(てつのじょう)、同観世暁夫、ピアニストの中村紘子など9名が選ばれた。第1回目の受賞者は洋画家の小磯良平。この他、小説家の川端康成(1952年受賞)、井上靖(59年受賞)、日本画家の東山魁夷(56年受賞)、9代目松本幸四郎(79年受賞)など、著名な芸術家が数多く受賞している。

(富岡亜紀子 ライター / 2009年)

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百科事典マイペディア 「日本芸術院賞」の意味・わかりやすい解説

日本芸術院賞【にほんげいじゅついんしょう】

日本芸術院が,毎年すぐれた芸術上の業績を表彰するために授与する賞。1924年創設。芸術院賞と天皇の下賜金から出される芸術院恩賜賞とがある。
→関連項目芦原義信上村松篁河竹登志夫幸田文団伊玖磨宮柊二

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