デジタル大辞泉
「飛出」の意味・読み・例文・類語
とび‐で【飛出】
能面の一。口を大きく開け、目を飛び出すように見開いた、神体を現す面。大飛出と小飛出とがあり、脇能や切能の後ジテに用いる。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
とび‐だ・す【飛出】
〘自サ五(四)〙
① 人が内から外へとんで出る。また、走って出る。
② 勢いよく出る。勢い込んで出る。また、急に突き出る。
とびでる。
※
滑稽本・
浮世床(1813‐23)二「鞘をふり出すと、金一分ポンと飛出
(トビダ)した」
※思出の記(1900‐01)〈
徳富蘆花〉五「向見ずに故郷を飛び出した去年の
今頃を想って居た」
※
洒落本・青楼五雁金(1788)三「はっととび出
(ダ)すかりかねぐみ」
とび‐だし【飛出】
〘名〙
① 道などに急にとびだすこと。内から外へ勢いよく出ること。
※うつせみ(1895)〈
樋口一葉〉三「
病院へ行けば
自宅と違って窮屈ではあらうが、何分此頃飛出
(トビダ)しが始まって〈略〉二人ぐらゐの力では到底引とめられぬ」
③ 新しい分野を切り開いて目立った
存在になること。
※第4ブラリひょうたん(1954)〈
高田保〉上戸・下戸「彼は当時も貧寒だった
新劇から出て華やかな大衆人気の
英雄となった。彼流の飛出しをするのが一人位は今日あってもいいのではあるまいか」
とび‐で【飛出】
〘名〙 能面の
一つ。口を大きく開けて
目玉がとび出したような
形相につくり、
神威のおそろしさを表わしたもの。大飛出
(おおとびで)と小飛出
(ことびで)があり、
前者は「国栖
(くず)」などの後ジテに、後者は「小鍛冶」などの後ジテに用いる。
※申楽談儀(1430)面の事「出合のとびで、此座の天神の面、大べしみ、小べしみ、皆赤鶴(しゃくづる)也」
とび‐・でる【飛出】
※古活字本毛詩抄(17C前)九「深谷の中からとひてて高木の上うつるぞ」
※苦の世界(1918‐21)〈宇野浩二〉三「そのとび出ためつき、気になる口つきをちらと見て」
とび‐い・ず ‥いづ【飛出】
〘自ダ下二〙 内から外に素早く出る。走って出る。また、突き出る。とびいだす。とびだす。
※平家(13C前)一一「内侍所はみづから炎の中をとびいでさせ給ひ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の飛出の言及
【能面】より
…(1)の尉面では小尉(小牛尉),阿古父(阿瘤)(あこぶ)尉,朝倉尉,笑(わらい)尉,皺(しわ)尉などが典型的な型で,石王兵衛の創作した石王(いしおう)尉,[三光坊]の三光尉などがこれに加わる。(2)は口を開いた阿(あ)形と,閉じた吽(うん)形に分けることができ,前者には飛出(とびで)の,後者には癋見(べしみ)の諸面があり,年たけて威力のある悪尉の諸種もここに入れてよいであろう。ほかに阿形では天神,黒髭(くろひげ),顰(しかみ),獅子口など,吽形では熊坂(くまさか)がある。…
※「飛出」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」