アンケル石(読み)アンケルせき(その他表記)ankerite

最新 地学事典 「アンケル石」の解説

アンケルせき
アンケル石

ankerite

化学組成Ca(Fe2+, Mg,Mn)(CO32,ドロマイト族鉱物の一種で,Fe>Mgの組成を有するもの。三方晶系,空間群,格子定数a0.4824nm, c1.6122,単位格子中に3分子含む。菱面体結晶,塊状・粒状。硬度3.5~4,比重2.95~3.1。白・灰・褐色。光学的一軸性負,屈折率ω1.690~1.750,ε1.510〜1.548。鉄に富む堆積岩の変成したもの,スカルン,カーボナタイト中に産出オーストリアのErzbergに産出。鉱物学者M.J.Ankerにちなみ命名

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンケル石」の意味・わかりやすい解説

アンケル石
あんけるせき
ankerite

炭酸塩鉱物の一つ。理想式Ca(Fe2+)[CO3]2に合致するものは自然界でも合成実験的にも生成されない。つねに著量のMgOあるいはMnOを含み、Fe:Mg=4:1程度がFeの量の上限である。そのため、特例としてFe:Mg=7:13よりFeに富むものをアンケル石、これより乏しいものを含Fe苦灰石(くかいせき)とよぶ習慣が通用しているが、反対意見もあり、通常の場合と同様Fe:Mg=1:1を苦灰石との境界としている。外形は菱(りょう)面体を基調とし、六角柱状をなすこともあるが、多く層状や皮膜状あるいはモザイク状の集合をなす。

 浅熱水鉱脈鉱床の脈石、低変成度の鉄酸化物や水酸化物を主成分とする堆積(たいせき)岩中の副成分や脈として産し、なかには続成作用の産物もある。温泉沈殿物や熱水変質鉱物として生成されることもある。日本では知られていないが、ある種のカーボナタイトでは副成分をなす。日本で確実なものは、大分県豊後大野(ぶんごおおの)市で温泉沈殿物として産するもので、これの化学組成はほぼ前記上限に対応する。共存鉱物は石英、菱(りょう)鉄鉱、苦灰石、粘土鉱物など。同定は褐黄色から橙(だいだい)色の色調。MnOに富むものは色が淡くなる。命名は、オーストリアの鉱物学者マシアス・ヨーゼフ・アンケルMathias Joseph Anker(1772―1843)にちなむ。

加藤 昭]


アンケル石(データノート)
あんけるせきでーたのーと

アンケル石
 英名    ankerite
 化学式   Ca(Fe2+,Mg)[CO3]2
 少量成分  Mn
 結晶系   三方
 硬度    3.5~4
 比重    3.11
 色     褐,黄,まれに白
 光沢    ガラス
 条痕    白
 劈開    三方向に完全
       (「劈開」の項目を参照)
 その他   Feが多いものでは,空気中で表面が徐々に褐色化する

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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