イチリンソウ(読み)いちりんそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イチリンソウ」の意味・わかりやすい解説

イチリンソウ
いちりんそう / 一輪草
[学] Anemone nikoensis Maxim.

キンポウゲ科(APG分類:キンポウゲ科)の多年草地下茎は白くやや多肉質で横にはう。茎は高さ20~30センチメートルで直立し、枝分れしない。茎葉は1回3出複葉で3枚が輪生し、総包葉ともよばれる。4~5月、径約4センチメートルの白色花を開き、花弁はなく、5~6枚の白色の萼片(がくへん)がある。花が花柄に1輪ずつつくのでこの名がある。早春植物の一つで、早春に葉を展開し花を開いたのち、初夏には地上部が枯れる。本州から九州にかけて分布する。イチリンソウ属は世界中に広く分布し約150種があり、日本にはこのほかにニリンソウや高山植物のハクサンイチゲなどが生育する。よく栽培される地中海地方原産のアネモネも本属の植物である。学名Anemoneは「風が吹く所に好んで生える」という意味である。

[門田裕一 2020年3月18日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イチリンソウ」の意味・わかりやすい解説

イチリンソウ(一輪草)
イチリンソウ
Anemone nikoensis

キンポウゲ科の多年草。九州から本州の暖温帯に分布し,落葉広葉樹林床林縁に生える。地下茎は横にはい,早春,その先から花茎あるいは根出葉を1本出す。花茎は高さ 20~30cmになり,上部に3出した羽状複葉を3枚輪生する。根出葉は長い柄があり,1~2回の3出羽状複葉である。葉の展開とともに開花し,花茎に径 4cmほどの白色の花を1個頂生する。これが和名由来である。5枚の片は広楕円形で白く,花弁のように見える。茎や葉は初夏には枯れてしまう。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

関連語をあわせて調べる

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android