インド独立運動(読み)インドどくりつうんどう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「インド独立運動」の意味・わかりやすい解説

インド独立運動
インドどくりつうんどう

1947年のインド独立までの一連の運動。 1857~59年のインド大反乱以降,ヨーロッパ式の自由思想感化を受けたインド人知識階級を中心に民族的自覚が芽生えてきたことがきっかけ。 1885年にはボンベイインド国民会議派が創設され,以来毎年会場を変えて党大会を開き,国民の政治意識の高揚を促した。この民族運動は,バール・ガンガーダルティラクなど急進派によってさらに激化し,20世紀初めにはイギリス政府への非協力,スワデーシスワラージ運動へ拡大した。同時に,ベンガル分割法反対運動の過程で反帝国主義的な性格を明確にし,イギリスからの完全独立が運動の最大の使命となっていった。第1次世界大戦後はマハトマ・ガンジー,ジャワハルラル・ネルーらの指導のもと,民族運動は全インド的な広がりと大衆性を獲得するにいたった。この間イギリスは弾圧妥協を繰り返し,さらにヒンドゥー教徒とイスラム教徒反目を利用してインド・ムスリム連盟を育成し,分割支配を試みたが大勢には勝てず,インド統治法改定を余儀なくされた。第2次世界大戦を機に独立運動はいよいよ盛んになり,イギリスもついに戦争終結後の独立を約束した。独立の方式については,ガンジーらは統一インドを主張したが,ムハンマド・アリージンナーらを中心とするインド・ムスリム連盟はパキスタンの独立を主張,1947年7月インド独立法によってイギリス領インド帝国は消滅し,同年8月ヒンドゥー教徒を主体とするインド連邦 (のちのインド共和国) と,イスラム教徒を主体とするパキスタンの二つ独立国が誕生した。

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