エボラ(その他表記)Évora

デジタル大辞泉 「エボラ」の意味・読み・例文・類語

エボラ(Évora)

ポルトガル中南部の都市。古代ローマ時代から交通の要路に位置し、アレンテージョ地方の中心都市として発展。イスラム支配後はポルトガル王ジョアン3世の治下宮廷が置かれた。16世紀にイエズス会の大学が創設され、学芸隆盛。1584年には天正遣欧使節が立ち寄った。城壁に囲まれた旧市街にはディアナ神殿エボラ大聖堂ロイオス教会サンフランシスコ教会などの歴史的建造物が多く、1986年に「エボラ歴史地区」の名称で世界遺産(文化遺産)に登録された。

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改訂新版 世界大百科事典 「エボラ」の意味・わかりやすい解説

エボラ
Évora

ポルトガル南部,アルト・アレンテージョ地方にある同名県の県都。人口3万4072(1981)。アレンテージョの台地を見下ろす標高約300mの丘に城壁をめぐらす典型的な城塞都市。ローマ時代にはエボラ・リベラリタス・ユリアEbora Liberalitas Juliaとして知られ,ルシタニアの主要都市の一つであった。1165年に4世紀半におよぶイスラム支配から解放され,以後ポルトガルの国土回復戦争の戦略的拠点となる。アビス朝期にはコルテスが23回召集されたと伝えられ,エボラは政治史上の重要な舞台となる。スペインによるポルトガル併合を経て,ブラガンサ朝以降は宮廷がリスボンにおかれ,エボラの政治的重要性は薄れた。〈博物館都市〉と呼ばれる同市の旧市街には,ローマ時代の神殿遺構をはじめロマネスク様式からロココ様式に至るまで,ポルトガル建築史上の傑作を網羅的に見ることができる。アレンテージョの農牧業産品の集散地としての役割も重要。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エボラ」の意味・わかりやすい解説

エボラ
えぼら
Évora

ポルトガル中南部、アルト・アレンテージョ地方の中心都市。人口4万4627(2001)。リスボンから東方への交通路と、ポルトガル東部を南北につなぐ交通路の交点に位置し、ローマ時代から発達した。1165年イスラム教徒の支配を脱し、ジョアン3世下では宮廷都市として絶頂期を迎え、数々の文人、芸術家を擁したが、スペインとの併合(1663~65)以降は衰微した。マヌエル様式ルネサンス様式の華麗な建造物があり、ダイアナ神殿の遺跡、12~13世紀の大聖堂、考古学博物館などが有名。1986年エボラの歴史地区が世界遺産の文化遺産(世界文化遺産)として登録されている。

[田辺 裕・柴田匡平]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エボラ」の意味・わかりやすい解説

エボラ
Évora

ポルトガル中南部,エボラ県の県都。リスボン東南東約 110km,低い丘に囲まれた肥沃盆地に位置する。ローマ時代の重要な軍事基地。8~12世紀にはムーア人 (→ベルベル人 ) の,17世紀には一時期スペイン人の支配下にあった。城壁に囲まれた旧市街は,ロマネスクにゴシック様式の加わった大聖堂 (1186) や,ムーア風とゴシック様式の混じった聖フランシスコ聖堂 (1507~25) などの古い建物が多く,1986年世界遺産の文化遺産に登録。人口3万 8938 (1991推計) 。

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百科事典マイペディア 「エボラ」の意味・わかりやすい解説

エボラ

ポルトガル南部,同名県の県都。南部の商業の中心。古代ローマ時代に創設され,当時の遺跡や12世紀の聖堂など史跡に富み,〈博物館都市〉の異名がある。フロイスバリニャーノ関係の史料を収蔵するエボラ図書館がある。旧市街は1988年,世界文化遺産に登録。4万5000人(2001)。

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世界大百科事典(旧版)内のエボラの言及

【ポルトガル】より

…大土地所有制が支配的で,大部分の農民は土地をもたず,地主は近郊の都市に居住する。1974年の革命後多くの集団農場が生まれ,エボラを中心とするアレンテージョは共産党の強力な地盤である。農民は日乾煉瓦やしっくい壁の家に住み,北部の石の文化に対して粘土の文化が支配的である。…

※「エボラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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