カフィエリ(英語表記)Jacques Caffieri

改訂新版 世界大百科事典 「カフィエリ」の意味・わかりやすい解説

カフィエリ
Jacques Caffieri
生没年:1678-1755

フランスの金工家。パリに生まれる。その息子フィリップ(1714-74)とともに,ルイ15世様式(ルイ王朝様式)の代表者とされる。〈王の彫刻家鋳金家,彫金家〉の称号をもち,豪華な宮廷装飾品を数多く手がけた。ベルサイユ宮殿の王の居室におかれた時計は,とくに有名。作風は,豊かな湾曲をもつ鋳造本体に,精緻な彫刻をほどこし,全体を鍍金する手法をとることが多い。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カフィエリ」の意味・わかりやすい解説

カフィエリ
Caffièri, Jacques

[生]1678.8.25. パリ
[没]1755. パリ
フランスの彫刻家,鋳金家,彫金家。彫刻作品はメッキの装飾的胸像が多い (作例『ブザンバル男爵像』) 。装飾デザインにすぐれ,シャンデリア,置時計,家具の装飾金具の制作,室内装飾の分野で活躍,はなやかなフランス・ロココ様式を示す。イタリア出身で 1660年にパリに移住し,ル・ブランのもとで仕事をした彫刻家フィリップ・カフィエリ (1634~1716) の5男。ほかの兄弟および子供 (J-J.カフィエリ ) たちも彫刻家ないし工芸家。

カフィエリ
Caffièri, Jean-Jacques

[生]1725.4.29. パリ
[没]1792.6.21. パリ
フランスの彫刻家,鋳金家,彫金家。 J.カフィエリの息子。 1748年ローマ大賞を獲得し,59年アカデミー会員となる。 57~89年のサロン出品。作風はロココ調で『ラモー像』『コンデ公王子像』など胸像が多い。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カフィエリ」の意味・わかりやすい解説

カフィエリ
かふぃえり
Jacques Caffieri
(1678―1755)

フランスの金工家。バロック後期からロココ初期にかけて活躍し、ブロンズに鍍金(ときん)した装飾彫刻、金具などに優れ、ルイ王朝様式、ルイ15世様式における代表的作家として宮廷の愛顧を受けた。とくにベルサイユ宮「時計の間」の置時計は、傑作として名高い。その子フィリップPhilippe Caffieri(1714―74)もルイ15、16世治下に活躍、多くの装飾作品を手がけた。

[友部 直]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「カフィエリ」の意味・わかりやすい解説

カフィエリ[一族]【カフィエリ】

1660年ころからフランス革命期までフランスで活動した,イタリア出身の鋳金・彫金家の一族。ベルサイユ宮殿の装飾に従事したフィリップ・カフィエリ〔1634-1716〕,ジャック・カフィエリ〔1678-1755〕の親子,ジャックの子でロココ的な装飾彫刻や肖像彫刻を得意としたジャン・ジャック・カフィエリ〔1725-1792〕が有名。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のカフィエリの言及

【簞笥】より

…コモドの表面の装飾にはウォールナットの化粧張りに精巧な花模様の寄木細工が加わり,四隅には金めっきのブロンズ金物が用いられた。宮廷彫金師J.カフィエリは装飾用の華麗なブロンズ金具によって,ロココの装飾的効果を巧みに出している。フランス革命後のディレクトアール様式からアンピール様式に至るコモドは,彫刻や寄木細工などの装飾を排除して,マホガニーによる直線的な構成とそれに金めっきのブロンズ表装をあしらったシンプルな形式になった。…

※「カフィエリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android