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けれん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

けれん

演出用語。曲芸的な技術が初期の歌舞伎に入り,元禄期の嫉妬事,怨霊事の業芸として展開した演出技法。幕末怪談物などで発達した。今日では宙乗り綱渡り早替りなどの仕掛けのある技巧的演出を含めていうので,見世物的演出法とだけ考えられがちであるが,本来所作事の一つの動作としての劇術であり,さらに歌舞伎の舞台機構,装置,衣装,かつらなどの発達を促進させたものといってよい。

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知恵蔵の解説

けれん

宙乗り(ちゅうのり)や早替わりなど、見た目に派手な面白さがある歌舞伎の演出方法。この他に大道具や小道具に仕掛けをする本水(ほんみず)、屋台崩し仏壇返し戸板返し、欄干抜けや衣装の引き抜きや、ぶっかえりなどをいう。2000年4月に東京・新橋演舞場スーパー歌舞伎「新・三国志」公演で市川猿之助が、1968年の「義経千本桜」公演から数えて海外での公演を含め5000回目の宙乗りを達成し、ギネスブックに登録された。宙乗りは元禄時代の初代市川圃十郎が初めて。後に並木正三が完成し、19世紀前半にかけて発展した。早替わりは4代目鶴屋南北が考案した。しかし明治時代の文明開化で近代リアリズムの影響を受けて写実本位の演出になり、けれんはすたれた。

(山本健一 演劇評論家 / 2007年)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

けれん
けれん

歌舞伎(かぶき)演出用語。一般に観客の意表をつくことを目的とし、スピードとスリルを重んじる演技、演出をいう。俳優が文楽(ぶんらく)の人形を模して動く「人形振り」、短時間のうちに多くの役を替わってみせる「早替り」、舞台で本物の水を使う「本水(ほんみず)」などや、「宙乗り」をはじめ軽業(かるわざ)的な演技と大道具の手のこんだ仕掛け物を使う演出がこれにあたる。江戸末期、太平に飽いて刺激を求める観客の嗜好(しこう)に応じて発達した。本来は義太夫節(ぎだゆうぶし)の用語で、たとえば竹本座系の太夫が豊竹座(とよたけざ)系の流儀で語るというように、他流の節で語るのを「外連(けれん)」とよんだのが最初である。したがって、正統でない芸という意味があり、いくらか軽侮の意をこめて使われてきたが、反面、歌舞伎は本質的にそういう要素を含んだ演劇であるという見方もあって、近年3世市川猿之助はとくにこれを強調し、「けれん」とよばれる演出を多く用いて注目されている。[松井俊諭]

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世界大百科事典内のけれんの言及

【鋳物】より

…(5)組立て 中子を主型に取り付け,上型と下型とを重ね合わせる工程。複雑な鋳物になると,何種類もの中子を使い,それを組み合わせて鋳型を作製するため,中子と中子の間,中子と主型の間で肉厚を確保しなければならないところには,〈けれん〉と呼ばれる型持ちが用いられる。(6)鋳込金属の溶解 よい溶湯にすることは鋳物製造の第一条件である。…

※「けれん」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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