ケンドルー(読み)けんどるー(英語表記)John Cowdery Kendrew

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケンドルー」の意味・わかりやすい解説

ケンドルー
けんどるー
John Cowdery Kendrew
(1917―1997)

イギリスの物理化学者、分子生物学者。オックスフォードに生まれる。ケンブリッジ大学で化学を学び、卒業後、第二次世界大戦中は空軍に入り、レーダーの研究やオペレーション・リサーチに参加。戦後、大学に戻り、W・L・ブラッグのもとでM・ペルツとともに改良を加えたX線解析を用いて結晶タンパク質の構造解析という前人未到の分野を開拓した。1958年にタンパク質ミオグロビンの結晶の概略的な三次元モデルを提出、2年後に完全な分子構造を明らかにした。この研究により1962年ペルツとともにノーベル化学賞を授与された。ペルツとともに創設したケンブリッジ大学医学研究会議所属分子生物学研究所の副所長を1975~1982年まで務め、ハイデルベルクにあるヨーロッパ分子生物学研究所総裁などを歴任した。

[宇佐美正一郎・宇佐美 論]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケンドルー」の意味・わかりやすい解説

ケンドルー
Kendrew, John Cowdery

[生]1917.3.24. オックスフォードシャー,オックスフォード
[没]1997.8.23. ケンブリッジシャー,ケンブリッジ
イギリスの生化学者。 1939年ケンブリッジ大学を卒業後学位取得,同大学で分子生物学の研究にたずさわり,M.ペルツとともに蛋白質分子の微細構造解明に努めた。 1960年,X線回折と電子計算機の力をかりて,ミオグロビンを構成するアミノ酸の三次元モデルを示すことに成功。ヘモグロビンの構造を解明したペルツとともに,62年ノーベル化学賞を受賞した。 71年国防省科学審議会議長,81年オックスフォード大学のセント・ジョンズ・カレッジ学長就任

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