コトル(英語表記)Kotor

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コトル」の意味・わかりやすい解説

コトル
Kotor

モンテネグロ南西部,アドリア海に臨むコトル湾奥の町。ニクシチの南約 50km,ロブツェン山(1749m)のふもとに位置する。古代ローマ時代からアクルビウム Acruviumの名で交易,商業が栄え,ビザンチン帝国下では自治都市,1186~1371年にはセルビア王国(→ネマーニヤ朝)の自由都市となった。その後,一時期ベネチア共和国(→ベネチア),ハンガリーに支配されたが,1395~1420年独立国となり,以降 1797年まで再びベネチア共和国に所属。オスマン帝国侵攻や地震で大きな被害を受け,1807~14年フランス,1814~1918年オーストリアの支配下に入った。聖トリフォン大聖堂(1166)をはじめとする歴史的建造物が多く,中世面影を色濃く残している。1979年コトル湾を囲む自然や文化的,歴史的景観国際連合教育科学文化機関 UNESCO世界遺産の文化遺産に登録された。2017年には市街地に残る要塞跡などが 16~17世紀のベネチア共和国の繁栄ぶりを示すものとして,イタリア,クロアチアの 5ヵ所の構成資産とともに世界遺産の文化遺産に登録された。人口 5341(2003)。

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