ゴムルカ(読み)ごむるか(英語表記)Władysław Gomułka

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴムルカ」の意味・わかりやすい解説

ゴムルカ
ごむるか
Władysław Gomułka
(1905―1982)

ポーランドの政治家。ガリツィア地方クロスノの労働者の家に生まれ、鍛冶(かじ)屋の徒弟、ついで精油労働者として労働運動に参加、1926年に共産党に加入した。いくつかの労組書記として活躍し、1931年には党中央委員となり、二度にわたって投獄された。第二次世界大戦中は労働者党(共産党)の指導者の一人として国内で対独抵抗闘争を組織した。1943年以降党書記長に就任し、戦後の統一臨時政府に副首相として入閣したが、ポーランド独自の道を主張したため、1948年に「右翼的、民族主義的偏向」を理由に解任され、1949年には党からも追放、1951年に逮捕された。スターリン死後の雪解けとともに、1954年に釈放され、1956年に復党し、民主化を求める国民的声望に推され、10月の党中央委総会で、ソ連の政治的・軍事的圧力を排して党第一書記に選出された。その後、対ソ関係の平等化、消費財の増産、教会との和解などの政策を打ち出したが、経済再建に失敗し、しだいに国民との溝を深め、1970年のバルト海地方暴動ののち党第一書記を辞任、翌1971年には党中央委員をも解任された。しかし後任者ギエレク失政によりその人気も回復し、1982年9月1日に病死した際には、国葬に準じる盛大な葬儀が行われた。

木戸 蓊]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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