日本大百科全書(ニッポニカ) 「サン・ジュスト」の意味・わかりやすい解説
サン・ジュスト
さんじゅすと
Louis Antoine Léon de Saint-Just
(1767―1794)
フランス革命期の政治家。ドシーズに生まれ、ランスで法律を学び放蕩(ほうとう)生活も送ったが、革命勃発(ぼっぱつ)後は一転して政治に熱狂、ロベスピエールを賛美した。地方での活動後、1792年9月国民公会に選出され、山岳派(モンタニャール)に属し、ルイ16世の処刑を主張して注目され、自派の権力掌握後は大公安委員会の一員としてぬきんでて、軍事面ではライン方面軍の勝利に寄与し、軍事全般にL・N・M・カルノーに次ぐ功績があった。エベール派、ダントン派の告発断罪にも主役を演じ、恐怖政治の大天使とよばれ、反革命容疑者の財産を貧困者に無償分配するバントーズ法の推進など多方面の活躍を続けた。しかし、反ロベスピエール派の台頭に対して、初めは調停役を務めようとして失敗、いわゆる「テルミドール(熱月)の反動」によってロベスピエール、クートンらとともに1794年、革命暦によるテルミドール10日、死刑に処せられた。
[樋口謹一]