シデ(読み)しで

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シデ」の意味・わかりやすい解説

シデ
しで / 四手
[学] Carpinus

カバノキ科(APG分類:カバノキ科)のアカシデイヌシデクマシデなどクマシデ属シデ属)の総称。落葉高木または小高木。葉は互生し、縁(へり)には鋸歯(きょし)または重鋸歯があり、雌雄同株で、雌雄両花序ともに芽中で越冬し、春の開芽とともに開く。雄花序は開花とともに垂れ下がる。雌花序は枝先につき、熟すと垂れ下がって果穂となる。果穂には多くの包葉がつき、その基部に米粒大の堅果ができる。山地の森林内に、ほかの木に混じって生えることが多い。北半球の温帯暖帯に30~40種あり、日本には5種分布する。名は、果穂が垂れ下がる状態を、注連縄(しめなわ)や玉串(たまぐし)などに下げる四手(しで)に見立てたものである。

[菊沢喜八郎 2020年2月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シデ」の意味・わかりやすい解説

シデ(四手)
シデ
Carpinus; hornbeam

各地の山林に自生するカバノキ科クマシデ属の落葉高木数種の総称で,イヌシデ C. tschonoskii,アカシデ C. laxiflora,クマシデ C. japonicaサワシバ C. cordataなどがある。早春,葉に先立って雌雄の尾状花序をつける。雄花序は紐状で小枝の先から垂れ下がり,鱗片状の包葉とおしべから成る。雌花序は2個の雌花を囲む包葉の集りから成る。シデとは花序の垂れ下がる様子を神道の儀式に用いる四手に見立てたものである。イヌシデは楕円形の葉に 12~15対の側脈が目立ち,アカシデは若葉の先が赤色,クマシデは葉の側脈が 20対内外もあり,またサワシバは葉の基部が深い心臓形である。いずれも材が堅く洋家具そのほか細工物に用いられ,また薪炭材としてもごく普通に用いられる。

シデ
Sidē

小アジアのパンフリア沿岸にあった古代港町。現トルコのセリミエ。前 15世紀頃に建設されたといわれ,前7~6世紀にキュメの植民地となったが異民族の要素が強く,ギリシア人から悪徳の町と評された。良港に恵まれ,前 333年アレクサンドロス3世 (大王) が占領。前 190年にセレウコス朝シリアの王アンチオコス3世が海戦で敗れたことで知られる。前2~1世紀にはキリキアの海賊の根拠地となった。のちローマ領となり繁栄したが4世紀には衰退。

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