日本大百科全書(ニッポニカ) 「シドッチ」の意味・わかりやすい解説
シドッチ
しどっち
Giovanni Battista Sidotti
(1668―1715)
キリシタン禁制下の日本に潜入した最後の宣教師。イタリアのシチリア島に生まれる。ローマ教皇クレメンス11世Clemens Ⅺ(在位1700~1721)の命を受け、1708年(宝永5)10月和服帯刀の姿で屋久(やく)島に単身上陸、ただちに捕らえられて長崎に送られた。ついで翌1709年秋に江戸に送られて小石川のキリシタン屋敷に監禁されたまま、正徳(しょうとく)5年10月そこで病死した。将軍の補佐役で彼の取調べにあたった儒者新井白石(あらいはくせき)はその尋問をもとに、世界地理の書『采覧異言(さいらんいげん)』(1713)や『西洋紀聞』(取調べのようす、世界地理、キリスト教の3部からなる。1715年記。刊行は1882年)を書いている。シドッチは、日本にキリスト教を布教するという彼本来の目的は果たすことはできなかったが、鎖国下の日本に国際世界についての視野を開かせる一つの契機となった。
[冨倉光雄 2018年2月16日]