改訂新版 世界大百科事典 「シバエビ」の意味・わかりやすい解説
シバエビ (芝蝦)
Metapenaeus joyneri
暖海の沿岸近くにすむ甲殻綱クルマエビ科のエビで,淡青色の地に青色の小斑点が多数ある。触角が赤いため,地方によってはアカヒゲと呼ぶ。東京湾,瀬戸内海,有明海などの水深10~30mの泥底に多く,東シナ海,黄海,南シナ海にも分布する。体長15cmに達するが,雄はやや小さい。頭胸甲は不規則なでこぼこで,硬い毛がある。額角はまっすぐで,上縁に7~9本のとげがある。産卵期は6月下旬から9月で,体長が2cmほどの稚エビが7月中旬から10月に干潟に現れる。沖合に移って越冬し,翌年夏に産卵した後に死ぬ。ごく近縁のヨシエビM.ensisはシラサエビ,スエビなど地方によって多くの名がある。体長18cmに達し,淡青褐色地に緑褐色の細かい斑点が無数にある。胸脚と腹肢は淡紅色。東京湾以南各地の内湾にすみ,インドネシア海域からオーストラリアまで分布している。一般的形態はシバエビによく似ているが,雌雄とも交接器の形が異なる。いずれも11月から翌年3月までが漁期で,手繰網や打瀬網で漁獲する。中級のてんぷら材料として需要が多い。
執筆者:武田 正倫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報