シュタイン‐ハルデンベルクの改革(読み)しゅたいんはるでんべるくのかいかく(その他表記)Die Stein‐Hardenbergschen Reformen ドイツ語

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

シュタイン‐ハルデンベルクの改革
しゅたいんはるでんべるくのかいかく
Die Stein‐Hardenbergschen Reformen ドイツ語

19世紀初頭プロイセン近代化を目ざして行われた改革ナポレオンに敗れ、ティルジット講和により国家存亡の危機にたたされたプロイセンでは、前近代的諸制度の改革が急務となっていた。1807年国政をゆだねられたシュタインは、隷農制廃止人身の自由を定めた農民解放令、都市の自治を定めた都市条令等を発布して、改革の口火を切ったが、翌年ナポレオンの圧力辞任を余儀なくされた。改革事業は10年以降ハルデンベルクにより受け継がれ、営業の自由、行政機構改革等が推進された。しかし、解放戦争勝利後は反動勢力の反対が強まり、農民解放もかえってユンカーを強める方向にゆがめられ、憲法も実現しなかった。

[岡崎勝世]

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百科事典マイペディア の解説

シュタイン=ハルデンベルクの改革【シュタインハルデンベルクのかいかく】

プロイセン改革基幹をなすもの。K.シュタインおよびハルデンベルク指導の下に1807年―1808年プロイセンで行われた一連の改革。農民解放,都市自治制度の導入,営業の自由化,中央行政機構の近代化等広範な改革を含み,全体として絶対主義的な国家・社会体制からの脱皮を目ざした。
→関連項目イェーナの戦グーツヘルシャフト

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山川 世界史小辞典 改訂新版 の解説

シュタイン‐ハルデンベルクの改革(シュタイン‐ハルデンベルクのかいかく)

シュタインとその後継者ハルデンベルク行政指導のもとに,1807年秋以降行われた一連の制度改革で,プロイセン改革の基幹部分をなすもの。「十月勅令」(07年10月)による隷農制の廃止と,「調整令」(10年9月)による農民保有地の所有地化の条件規定とによって,特殊プロイセン的な農民解放の型が打ち出され,グーツヘルシャフトからユンカー経営への資本主義的進化が基礎づけられたことは特に重要。そのほか「都市条令」(08年11月)による都市自治制度の再建や,商工業における営業の自由の宣言,中央行政機構の近代化などもその成果である。

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旺文社世界史事典 三訂版 の解説

シュタイン−ハルデンベルクの改革
シュタイン−ハルデンベルクのかいかく

1807年のティルジット条約以後,シュタインとその後継者ハルデンベルクの指導により,プロイセン近代化のために実施された内政改革の総称
フリードリヒ−ヴィルヘルム3世に国政を委ねられたシュタインの農奴解放(十月勅令),都市自治制,近代的内閣制度の確立,それを受け継いだハルデンベルクのギルド的特権の廃止,財政改革,また,シャルンホルスト・グナイゼナウの軍制改革(一般兵役義務制採用),フンボルトの教育改革など。「上からの改革」により封建的社会機構を資本主義経済に適応させようとしたものだったが,解放戦争に勝利したのちは,反動勢力の反対が強まり,ユンカー勢力と妥協して近代化は不徹底に終わった。しかし,これらの改革は,ナポレオンの支配を脱するだけでなく,やがてドイツの統一を実現するプロイセンの発展の出発点ともいえるものであった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

シュタイン=ハルデンベルクの改革
シュタインハルデンベルクのかいかく

「プロシア改革」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のシュタイン‐ハルデンベルクの改革の言及

【営業税】より

…一方,ドイツでも,17~18世紀に商工業の発達の早い西南ドイツの諸邦を中心に営業税論が台頭した。1808年に始まるシュタイン=ハルデンベルクの改革を通じて従来の同業組合に対する監督が廃止され,10年の勅令を通じフランスの免許税と同様に,営業鑑札を受け営業税を払うこととひきかえに〈営業の自由〉がみとめられた。20年の営業税法を通じ収益力があると思われる11種目の営業に課税する営業税が確立した。…

【土地改革】より

…革命と反革命を含む社会変動過程で旧土地制度の廃止や変更を目ざして行われる新政権の政策およびその実施過程をいう。それは,世界史的段階と国際的状況,旧土地制度と当面する変革課題,新政権の階級的背景や力量によって多様である。とくに重要なのは資本主義への移行過程における土地改革であり,その構造は以後の発展過程を規定する基本要因となる。ここではまず20世紀初頭までの西欧およびロシアにおける土地改革を概観し(とくに,先行する土地改革が後発の他地域の改革に与える影響に留意する),ついで第2次大戦後の中国の土地改革について記述する。…

【プロイセン改革】より

…1807年から22年にかけてプロイセン王国で行われた農制,営業・租税制度,行政,軍制,教育制度などの諸分野にわたる一連の近代的改革。指導した2人の宰相の名をとってシュタイン=ハルデンベルクの改革Stein‐Hardenbergsche Reformenとも呼ぶ。
[概要]
 1806年にイェーナの戦でナポレオン軍に完敗したプロイセンは,翌年のティルジットの和約で,領土の半ばを失い,多額の貢納金の支払,大陸封鎖令による対英貿易の禁止,フランス軍の駐留などの経済的圧迫を被り,国家存亡の危機にした。…

※「シュタイン‐ハルデンベルクの改革」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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