日本大百科全書(ニッポニカ) 「デュパルク」の意味・わかりやすい解説
デュパルク
でゅぱるく
(Marie Eugène) Henri Duparc
(1848―1933)
フランスの作曲家。パリに生まれる。フランクのもっとも傑出した弟子だが、85歳の長い人生のうち、作曲活動に専念したのは20歳から約15年間にすぎない。師フランク譲りの厳格な自己批判の精神により、多くの作品を破棄した。慢性神経衰弱のため、30代の後半以降、約半世紀にわたり悲劇的な闘病生活を送り、南フランスのモン・ド・マルサンに没した。彼の現存するわずか18曲の歌曲(メロディ)(ボードレール詩『旅へのいざない』、ルコント・ド・リール詩『フィディレ』を含む)は、いずれも珠玉の傑作として、フランス歌曲史上光を放っている。ほかに器楽曲が若干ある。なお、療養中にプーシキン原作のオペラ『ルサルカ』を10年間手がけたが、未完成のまま、楽譜は1895年に焼き捨てられた。
[船山信子]