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 シ

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デジタル大辞泉の解説

し[五十音]

五十音図サ行の第2音。硬口蓋の無声摩擦子音[ʃ]と母音[i]とから成る音節。[ʃi]
平仮名「し」は「之」の草体から。片仮名「シ」は「之」の草体の変化したもの。
[補説]「し」は、古くは[tsi](あるいは[ʃi][tʃi])であったかといわれる。室町時代末にはすでに[ʃi]であった。

し[助動]

[助動]《尊敬の助動詞「しゃる」の命令形「しゃれ」が「しゃい」となり、さらに「せえ」「し」と音変化したもの。近世語》四段動詞の未然形に付く。軽い尊敬を含んだ命令を表す。…なさい。…たまえ。→さっし
「ここを一番聞かっ」〈滑・浮世床・初〉
[補説]上接の動詞と「し」との間に促音を添加して、「っし」の形で用いられる。

し[助動]

[助動]過去の助動詞「き」の連体形。
「しかしか、さはべりことなり」〈大鏡・序〉
[補説]現代語では、「ありし日」「若かりしころ」などの慣用的な表現で用いられる。

し[接助・副助・間助]

[接助]活用語の終止形に付く。
前に述べる事柄が、後に述べる事柄と並列的、対比的な関係であることを表す。「御飯も炊ける、味噌汁も作れる」「成績はよくもない、悪くもないといったところだ」
前に挙げた事柄を原因・理由として下の事柄に続ける意を表す。から。ので。「身体はじょうぶです、もっと働けます」「家も近いんだ、たまには寄れよ」
(終助詞的に用いて)一つの事実・条件を言いさし、結論を言外に暗示する意を表す。「旅行はしたいけれども、暇はない」「せっかく出場させてもエラーはする
(「…まいし」の形で)相手を軽んじたり、詰問したりする意を表す。「子供のけんかじゃあるまい」「人ごとではあるまい、まじめに考えなさい」
[補説]近世以降用いられ、おもに打ち解けた対話に用いられる。
[副助]名詞、活用語の連体形および連用形、副詞、助詞などに付いて、上の語を強調する意を表す。
「から衣きつつなれにしつま―あればはるばるきぬる旅を―ぞ思ふ」〈伊勢・九〉
[補説]上代に多く用いられ、中古以降は「し…ば」の形、または「しも」「しは」「しぞ」のように他の助詞と複合した形で用いられる。
[間助]《上代語》多く「やし」「よし」の形で、詠嘆を表す。
「よしゑや―直(ただ)ならずともぬえ鳥の心泣(うらな)け居りと告げむ子もがも」〈・二〇三一〉

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編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
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大辞林 第三版の解説

五十音図サ行第二段の仮名。硬口蓋摩擦音の無声子音と前舌の狭母音とから成る音節。
平仮名「し」は「之」の草体。片仮名「シ」は「之」の草体の変形。

植物ギシギシの古名。 〔和名抄〕

( 感 )
人を制して沈黙させるときなどに発する語。しい。しっ。 「 -、静かに!」
牛馬を進ませたり、邪魔なものを追い払ったりするときに発する語。しい。しっ。 「 -、あっちへ行け」
(狂言で)呼びかけの言葉。 「是に言葉をかけう、-、-、申し/狂言・餅酒」

〔過去回想の助動詞「き」の連体形。「若かりし時」など現代語では慣用的な言い方としてのみ用いられる〕

〔尊敬の助動詞「しゃる」の命令形〕

〔上代語。尊敬の助動詞「す」の連用形〕

( 接助 )
活用語の終止形に付いて、前後の句を接続する。強調の気持ちをこめて、並列・順接・逆接などの関係で下に続ける働きを示す。
事実や条件を並べて示し、強調する。 「しゃべっている人もいない-、横を向く人もいない」 「むし暑い-、風はない-、まったく参った」
一つまたは二つ以上の事実や条件を示し、それがあとの事柄(結果・判断)の原因・理由となっていることを表す。 「お金はある-、時間はある-、映画でも見よう」 「家も近くです-、また参ります」
文末にあって、事実・条件を言いさし、それから導かれる結果・判断を言外にひびかせて表す(終助詞的な用法)。 「ああ面白かった。席もすいていた-ね」
相反する条件・事柄を並べたてる。 「遊びには行きたい-、暇はない-、面白くない」
(打ち消し推量の助動詞「まい」に付いて)逆接条件を表す。…ものを。…のに。 「子供でもあるまい-、飴玉をくれるとはね」 〔この助詞は、中世から見られる形容詞の終止形による接続用法から、その語尾が遊離・独立して成立した。近世以降多く用いられるようになった〕
( 副助 )
〔指示語「し」の転という〕 文中にあって種々の語に付き、上の語の意味を指示・強調する。 「宇治のみやこの仮廬かりいお-思ほゆ/万葉集 7」 「うらうらに照れる春日にひばり上がり心悲しもひとり-思へば/万葉集 4292」 「ほのぼのと明石の浦の朝霧に島がくれゆく舟を-ぞ思ふ/古今 羇旅」 「ありと-ある人は皆浮雲の思ひをなせり/方丈記」
( 間投助 )
詠嘆の意を表す。間投助詞「や」「よ」の下に重ね用いられることが多い。 「はしきよ-我家わぎえの方ゆ雲居立ち来も/日本書紀 景行
(感動詞や他の間投助詞とともに用いられて)語調を調え、囃子詞はやしことばを構成する。 「今はよ今はよああ-やを今だにも吾子よ今だにも吾子よ/日本書紀 神武

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


五十音図第3行第2段の仮名。平仮名の「し」は「之」の草体から、片仮名の「シ」も「之」の草体の変形からできたものである。万葉仮名では「之、芝、子、次、志、思(以上音仮名)、僧、石、磯、爲(以上訓仮名)」などが清音に使われ、「自、士、仕、司、時、耳、珥(以上音仮名のみ)」などが濁音に使われた。ほかに草仮名としては「(志)」「(新)」「(斯)」などがある。
 音韻的には/si/(濁音/zi/)で、歯茎と硬口蓋(こうこうがい)の中間と舌との間で調音する無声摩擦音[](有声破擦音[d])を子音にもつ。ジとヂとは、室町時代ころから混同され始め、今日では、東北や出雲(いずも)地方、四国・九州の一部などを除いて、合一してしまっている。[上野和昭]

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