ジクロロベンゼン(読み)じくろろべんぜん(英語表記)dichlorobenzene

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジクロロベンゼン」の意味・わかりやすい解説

ジクロロベンゼン
じくろろべんぜん
dichlorobenzene

ベンゼン塩素置換体の一つ。その位置によりo(オルト)-、m(メタ)-、p(パラ)-ジクロロベンゼンの3種の異性体がある。o-、m-体は無色液体、p-体は無色固体。塩素によりベンゼンまたはクロロベンゼンを塩素化して得た3種の異性体の混合物を結晶化、蒸留することにより、各異性体が分離、精製される。用いる触媒の種類、温度などの反応条件により異性体の生成比は異なる。いずれも水には溶けず、エタノールエーテルに溶ける。o-ジクロロベンゼンは染料の原料として、また種々の用途をもつ溶剤として用いられる。p-ジクロロベンゼンはもっとも多く用いられる衣類防虫剤である。

[谷利陸平]


ジクロロベンゼン(データノート)
じくろろべんぜんでーたのーと

ジクロロベンゼン

 分子式 C6H4Cl2
 分子量 147.0

o-ジクロロベンゼン
 融点 -17.03℃
 沸点 180.48℃
 比重 1.3059(測定温度20℃)

m-ジクロロベンゼン
 融点 -24.76℃
 沸点 173.00℃
 比重 1.2884(測定温度20℃)

p-ジクロロベンゼン
 融点 54℃
 沸点 174.12℃
 比重 -(測定温度20℃)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジクロロベンゼン」の意味・わかりやすい解説

ジクロロベンゼン
dichlorobenzene

ベンゼン核に2個の塩素原子がついた構造をとる。3種の異性体が存在するが,そのうち p 体だけが固体で,重要な用途がある。 p- クロロアニリンからつくられる無色の特異臭のある結晶。融点 54℃。水に不溶。防虫剤として使われる。人体にも弱い毒性を示し,高濃度では頭痛を起す。

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