日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジクロロベンゼン」の意味・わかりやすい解説
ジクロロベンゼン
じくろろべんぜん
dichlorobenzene
ベンゼンの塩素置換体の一つ。その位置によりo(オルト)-、m(メタ)-、p(パラ)-ジクロロベンゼンの3種の異性体がある。o-、m-体は無色液体、p-体は無色固体。塩素によりベンゼンまたはクロロベンゼンを塩素化して得た3種の異性体の混合物を結晶化、蒸留することにより、各異性体が分離、精製される。用いる触媒の種類、温度などの反応条件により異性体の生成比は異なる。いずれも水には溶けず、エタノール、エーテルに溶ける。o-ジクロロベンゼンは染料の原料として、また種々の用途をもつ溶剤として用いられる。p-ジクロロベンゼンはもっとも多く用いられる衣類の防虫剤である。
[谷利陸平]
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