日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジャルパ鉱」の意味・わかりやすい解説
ジャルパ鉱
じゃるぱこう
jalpaite
銀と銅の複硫化物。1850年ドイツのブライトハウプトJ. F. A. Breithaupt(1791―1873)によって針銀鉱の含Cu変種として記載された。以後独立種の地位が与えられていなかったが、1967年彼が与えた理想式Ag3CuS2に該当するものが合成され、これによって独立種としての地位が確立された。他の二種の銀、銅の複硫化物とともに、輝銀銅鉱‐ジャルパ鉱群を構成する。合成Ag3CuS2は117℃以下で安定。自形未報告。
浅~深熱水性鉱脈型金・銀鉱床中に産する。またオーストラリアのブロークン・ヒルBroken Hill鉱山のような変成鉱床の一部からも発見されている。日本では新潟県佐渡市佐渡鉱山(閉山)から報告されている。共存鉱物は黄鉄鉱、閃亜鉛鉱(せんあえんこう)、方鉛鉱、黄銅鉱、自然銀、針銀鉱、ポリバス鉱(雑銀鉱)、安四面銅鉱、石英、方解石など。同定はそのままでは他の銀鉱物、とくに針銀鉱と類似する。しかし、表面が錆びると暗色化する部分と虹(にじ)色になる部分が出てくる。暗色化した表面の上に虹色の部分が覆うという感じである。可切性がある。英名は原産地メキシコのヤルパJalpaにちなむ。
[加藤 昭]