スパランツァーニ(読み)すぱらんつぁーに(英語表記)Lazzaro Spallanzani

デジタル大辞泉 「スパランツァーニ」の意味・読み・例文・類語

スパランツァーニ(Lazzaro Spallanzani)

[1729~1799]イタリアの博物学者。生物学実験的な方法導入微生物自然発生を実験により否定した。胃液皮膚呼吸などの研究においても、すぐれた業績を残した。主著動物および植物自然学」。

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精選版 日本国語大辞典 「スパランツァーニ」の意味・読み・例文・類語

スパランツァーニ

  1. ( Lazzaro Spallanzani ラッツァロ━ ) イタリアの博物学者。実験生物学の祖。呼吸コウモリ感覚器などについての論文を発表。両生類再生を研究、カイコイヌ人工受精に成功した。(一七二九‐九九

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スパランツァーニ」の意味・わかりやすい解説

スパランツァーニ
すぱらんつぁーに
Lazzaro Spallanzani
(1729―1799)

イタリアの生物学者。スカンディアノに生まれる。ボローニャ大学で法律を修め、のちに自然科学に転じた。レギオモデナ、パビア各大学で、物理学哲学、自然科学などの教授となった。動物学に実験的方法を導入したことで有名である。オタマジャクシやサンショウウオの足や尾で再生がおこることを観察し、また肉汁を加熱して容器の首を密封すれば微生物が発生しないことを実験的に証明して、自然発生説を否定する先駆けとなった。彼は発生学では前成説の立場にたち、精液中に存在して卵の中にある胚(はい)の成長を刺激する物質の性質を明らかにしようと種々の実験を行った。とくに、精液を濾過(ろか)すると受精能力が失われることから、精液中の臭気が受精に必要であるという従来の考えを否定した。また、両生類、カイコ、イヌで人工受精に成功した。そのほか、脳、筋肉、肝臓、皮膚などにおける組織呼吸(細胞呼吸)、消化における胃液の役割、心臓の作用など、生理学的研究にも広範な活動を示した。主著に『動物および植物の自然学』Opuscoli di fisica animale e vegetabile(1780)がある。

[八杉貞雄]

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改訂新版 世界大百科事典 「スパランツァーニ」の意味・わかりやすい解説

スパランツァーニ
Lazzaro Spallanzani
生没年:1729-99

イタリアの生物学者。スカンディアーノに生まれた。神学校を経て,レッジョ大学,モデナ大学で物理学,哲学などを講じたあと,パビア大学の自然史学教授。J.T.ニーダムらの自然発生説に反対し,巧妙な実験技術を駆使して自然発生否定実験を行った。また発生学の分野においては,後成説に反対して前成説の側に立った。ほかに血液循環やシビレエイの発電に関する生理学的研究など多くの分野ですぐれた実験的研究をすすめ,19世紀の実験生物学の先駆となったが,進化論などの自然観にかかわる問題に関しては,保守的で機械論的,固定的な見解をとった。
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百科事典マイペディア 「スパランツァーニ」の意味・わかりやすい解説

スパランツァーニ

イタリアの博物学者。ボローニャ大学で自然学を研究。1769年以降はパビア大学教授。巧妙な実験によって,自然発生説を否定したほか,胃液の研究,受精や再生の実験等多くの分野で実験を用いた先駆的研究を行った。発生学の分野では前成説の立場をとった。
→関連項目人工授精

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世界大百科事典(旧版)内のスパランツァーニの言及

【自然発生説】より

… 18世紀に入ると自然発生に関する論争が再び起こった。ニーダムJ.T.Needham(1713‐81)は,当時新たに顕微鏡で発見された微生物の領域で自然発生があることを示す実験を提示し,それに反対するL.スパランツァーニと激しく論争した。この論争は,発生学における前成説と後成説の論争や生物種の固定説対可変説という対立にも結びついていた。…

【消化】より

…R.A.F.deレオミュールは金属製の籠に肉片や骨片をいれてトビに飲みこませ,破砕作用がなくても消化が起こることを実証した(1752)。大実験家L.スパランツァーニはこの方法を多種類の動物に広げ,自分自身も木製の小管を飲んで実験した。さらに動物にカイメンを飲ませて胃液を得て,生体外で消化を観察した。…

【人工授精】より

…人工授精技術の内容は,家畜・家禽(かきん)類と人類とでは基本的には同一であるが,その目的とするところは大きく異なっている。
【家畜の人工授精】
 哺乳類を対象として,人為的に雄から精液を採取し,雌に注入して,受胎,分娩させることに初めて成功したのは,イタリアの生物学者L.スパランツァーニである。1780年に彼は30頭の雌イヌに試みて18頭の子イヌを得た。…

【生物学】より

…顕微鏡による観察ではR.フックの《ミクログラフィア》(1665)があり,A.vanレーウェンフックの活動も17世紀後半であった。 18世紀になると,後生説をとなえたC.F.ウォルフ,多能の実験家であったL.スパランツァーニ,前生説論者でアリマキの単為生殖を見いだしたC.ボネなど,発生学の研究が目だつようになる。A.トランブレーがヒドラの再生実験を行って,動植物の区別について議論を引き起こしたのも,またリンネが種の固定不変を信じながら,現実にみる種の可変性に悩まされたのも,18世紀のただ中のことであった。…

※「スパランツァーニ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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