スリランカ美術(読み)スリランカびじゅつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スリランカ美術」の意味・わかりやすい解説

スリランカ美術
スリランカびじゅつ

古来スリランカ (セイロン) で展開した仏教を中心とする美術。美術関連の遺跡は古都アヌラーダプラと中世の都ポロンナールワに集中している。アヌラーダプラにはトゥーパーラーマ・ダーガバ (前3世紀) をはじめ数多くの仏塔が建造された。仏塔はスリランカではダーガバと呼ばれ,煉瓦造りでインドの仏塔を模し,ルアンベリ塔 (前1世紀) のように規模の大きい仏塔も多数建造された。しかし古い形を維持する仏塔は少なく,後世しばしば修復を受けている。初期の彫像はサータバハナ朝のアマラーバティーの影響を受けている。遺品はルアンベリ塔前の仏立像,コロンボ博物館蔵の仏頭,仏坐像,マハーセーナ寺院半円石浮彫,パッラバ朝様式をもつイスルムニヤ寺院岩石浮彫など。ポロンナールワの遺跡の大半はパラクラマバーフ1世時代 (12世紀) のもので,ガル・ビハーラの巨大な涅槃像と王自身の立像と伝えられるものが名高い。絵画遺品としてはカッサパ王 (在位 478~496頃) の城塞に残るシーギリヤ壁画が貴重な作品である。

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