セラミックコンデンサー(読み)せらみっくこんでんさー(英語表記)ceramic condenser

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セラミックコンデンサー」の意味・わかりやすい解説

セラミックコンデンサー
せらみっくこんでんさー
ceramic condenser

金属酸化物焼結体(セラミック)を誘電体とするコンデンサー総称磁器コンデンサーともいう。特性の面からは、主として低損失で比誘電率の温度係数が制御された酸化チタン系磁器と、比誘電率の大きなチタン酸バリウム系磁器の2種類に大別される。構造面からは、円板(または角板、円筒)状セラミック誘電体の両面金属電極を焼き付けリード線をはんだ付けした後、ディップ形絶縁塗装を施した単板リード形と、セラミック誘電体層と電極層を交互に積層一体化焼結し外部端子電極をつけた積層チップ形とがある。前者の構造ではセラミック誘電体層の厚さは機械的強度の関係で150マイクロメートル程度が限度であるが、後者では材料技術やシート薄層化技術の進歩により1層の厚さが1マイクロメートルの薄層品が商品化されている。特殊な用途を除いて標準的な形状では、0603(0.6×0.3ミリメートル)の超小型品から5750(5.7×5.0ミリメートル)まで7~8種類がある。ちなみに1マイクロメートル厚誘電体層の積層セラミックチップコンデンサーでは2012サイズの外形寸法で静電容量が100マイクロファラドの製品が量産化され、一部のタンタルコンデンサーやアルミ電解コンデンサーからの置き換えが進みつつある。

 こうした積層セラミックチップコンデンサーは、表面実装に適した形態と構造をもつこと、信頼性が高いこと、高周波特性が優れていること、大容量化が可能になったことなどにより、映像音響機器や情報通信機器の電源回路などへの用途が急拡大している。今日ではセラミックコンデンサー全生産量の90%以上をこの積層チップ形が占めており、今後もこの傾向は続くものと考えられる。

[坂田好一郎]

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