五十音図第3行第4段の仮名。平仮名の「せ」も、片仮名の「セ」も、ともに「世」の草体からできたものと考えられる。万葉仮名では「世、西、勢、齊、施(以上音仮名)、背、迫、狹、瀬(以上訓仮名)」などが清音に使われ、「是、筮、噬(以上音仮名)、湍(訓仮名)」などが濁音に使われた。ほかに草仮名としては「(世)」「
(瀬)」「
(勢)」などがある。
音韻的には/se/(濁音/ze/)で、上歯茎と舌との間で調音する無声摩擦音[s](有声破擦音[dz])を子音にもつ。室町時代末ころは[ʃe]([ʒe])であったらしく、今日でも九州、中国、北陸などには、この発音が残っている。
[上野和昭]