精選版 日本国語大辞典 「せ」の意味・読み・例文・類語

〘終助〙 文の終わりに用いて、聞き手に働きかける気持を表わす。「よ」に近い。せえ。関西では「だっせ」「まっせ」のように促音の後に限る。標準語では用いない。
※土(1910)〈長塚節〉二〇「わし等方なんぞぢゃ、土手へ筵囲ひしてやっとこせ凌いだものなんぼ有ったかせ」

〘接尾〙 氏名などに添えて敬意を表わす「様(さま)」の意に用いる。江戸吉原大文字屋から始まったもの。
洒落本・三筋緯客気植田(1787)下「およしなんし。松太郎せ」

〘名〙 いね。米。「早稲(わせ)」「粃(しいなせ)」などと熟して用いられる。

過去助動詞「き」の未然形。「せば」の形で現実事態に反する仮定条件を表わす。→せば

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デジタル大辞泉 「せ」の意味・読み・例文・類語

せ[五十音]

五十音図サ行の第4音。歯茎の無声摩擦子音[s]と母音[e]とから成る音節。[se
平仮名「せ」は「世」の行書体から。片仮名「セ」も「世」の行書体からの変形
[補説]「せ」は古く[tse](あるいは[ʃe][tʃe])であったかともいわれる。室町時代末には[ʃe]であったが、東国語では[se]と発音され、近世以降次第に[se]と発音されるようになった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「せ」の意味・わかりやすい解説

五十音図第3行第4段の仮名。平仮名の「せ」も、片仮名の「セ」も、ともに「世」の草体からできたものと考えられる。万葉仮名では「世、西、勢、齊、施(以上音仮名)、背、迫、狹、瀬(以上訓仮名)」などが清音に使われ、「是、筮、噬(以上音仮名)、湍(訓仮名)」などが濁音に使われた。ほかに草仮名としては「(世)」「(瀬)」「(勢)」などがある。

 音韻的には/se/(濁音/ze/)で、上歯茎と舌との間で調音する無声摩擦音[s](有声破擦音[dz])を子音にもつ。室町時代末ころは[ʃe]([ʒe])であったらしく、今日でも九州、中国、北陸などには、この発音が残っている。

[上野和昭]

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