日本大百科全書(ニッポニカ) 「タウラー」の意味・わかりやすい解説 タウラーたうらーJohannes Tauler(1300ころ―1361) 中世ドイツの神秘主義者。ストラスブール(シュトラスブルク)に生まれ、ドミニコ会士となる。ケルンに学んでエックハルトの影響を受け、「魂の根底」における神の受容を説いたが、また急進的思弁を避け、人間の被造物性という正統的教義の枠内にとどまった。総じてその神秘主義は、知的よりは実践的な性格が強く、正しい内面生活は、単なる善き業(わざ)をも、横溢(おういつ)する感情をも避けるところにあるという。ルターをも含めて、後世に少なからぬ感化を及ぼした。[田丸徳善 2015年1月20日][参照項目] | エックハルト 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タウラー」の意味・わかりやすい解説 タウラーTauler, Johann [生]1300頃.シュトラスブルク[没]1361.6.16. シュトラスブルクドイツの神秘思想家,説教家。 1315年ドミニコ会修道士,25年ケルン大学に学び,エックハルトとゾイゼの影響を受けた。 39年バーゼル,47年シュトラスブルク,50年ケルンで説教家として活動した。この間,48年のペスト流行にあたっては病者の看護に献身。神学的にはトマス・アクィナスの立場に立ったが,キリスト者としての内面的形成を強調し,信仰,神学,教会制度の本質を深く認識した点に特色がみられ,一方その神秘思想においては,神の霊魂への内在,神秘的上昇の道が語られるとともに,神との一致のもたらす愛と謙遜の徳が強調されている。 M.ルター,J. S.バッハ,A.ショーペンハウアーらに影響を与えた。主著『説教集』 Predigten (1348) 。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報