千里眼(読み)センリガン

デジタル大辞泉 「千里眼」の意味・読み・例文・類語

せんり‐がん【千里眼】

遠方出来事将来のこと、また、隠れているものなどを見通す能力。また、その能力をもつ人。
[類語]念力神通力超能力魔力テレパシー

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精選版 日本国語大辞典 「千里眼」の意味・読み・例文・類語

せんり‐がん【千里眼】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 千里の先まで見える目。遠方の出来事や将来のこと、また、人の心の奥底を見通す能力。また、その能力を持つ人。天眼通(てんげんつう)
      1. [初出の実例]「遊客試窮千里眼、快風吹断満池蓮」(出典:搏桑名賢詩集(1704)四・池端晩眺〈安東元簡〉)
      2. 「われこの千里眼(センリガン)をもて、よくその事をしるといへども」(出典:読本椿説弓張月(1807‐11)続)
      3. [その他の文献]〔北史‐楊逸伝〕
    2. 心理学で、遠方の出来事を直覚的に感知する神秘的能力。
  2. [ 2 ] 天上からよく下界を見通すという神。
    1. [初出の実例]「千里眼(センリガン)といふ神と、順風耳といふ神を唐船には皆祭れり」(出典:随筆・北窓瑣談(1829)二)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「千里眼」の意味・わかりやすい解説

千里眼
せんりがん

千里の先まで見通すことができる目の意で、転じて、遠方のできごとや未来のこと、また他人の心を見通すことができる能力や、その持ち主をいい、天眼通ともいう。中国、魏(ぎ)の楊逸(よういつ)がスパイを駆使して情報を集め、遠く隔たった土地のことまでよく知っていたので、人々が「楊逸は千里眼をもっている」といった、と伝える『魏書』「楊逸伝」の故事による。また、天帝に仕える神で、天上から下界のすべてを見通している神をいい、下界の万事を聞き知る順風耳に対する。

[田所義行]

 わが国で初めて超心理学研究が行われたとき、超常的現象をさすことばとして千里眼の語が用いられた。1910年(明治43)心理学者福来友吉(ふくらいともきち)は、熊本の御船千鶴子(みふねちずこ)について透視の研究を始めたが、第二の被験者丸亀(まるがめ)の長尾郁子(ながおいくこ)について透視実験の実施中、念写の可能性に気づいた。彼は多くの実験の結果、両現象の存在を確信するに至った。一方、物理学者山川健次郎を中心とする研究グループができ、千里眼研究には物理学者が適しているとして若干の実験を行った。しかし、ともに科学的研究を目ざしながら両者は協調することなく、ついに統一的結論を出すに至らなかった。物理学者たちは彼らの研究の経過を『千里眼実験録』(1911)と題して発表し、福来は『透視と念写』(1913)と題し、両現象は実験的に証明されたと報告した。当時これら研究の経過および能力者(千里眼者)についてセンセーショナルな報道が行われ、この事件は「千里眼問題」として世間の注目をひいた。現在の超心理学では千里眼の語は用いない。

[大谷宗司]

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故事成語を知る辞典 「千里眼」の解説

千里眼

遠方のできごとや将来のこと、人の心の奥底などを見通す能力のたとえ。

[使用例] 結婚前千里眼以上に彼の性質を見抜き得たとばかり考えていた彼女の自信は、〈略〉すでにそこここ汚れていた[夏目漱石*明暗|1916]

[由来] 「魏書よういつ伝」に見える話から。六世紀の中国、ほく王朝の時代のこと。楊逸という役人は、非常に庶民思いで、役人が横暴にふるまうのを憎み、諜報員を使って部下たちの行動を監視していました。部下たちが出張に行くときにも、自分で食糧を携帯させるので、彼らは、食事を出してくれる人がいても、けっしてごちそうになろうとはしません。そして、「楊さまは『千里眼(千里の先まで見える目)』をお持ちだから、ごまかすことはできない」と噂し合っていたということです。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「千里眼」の意味・わかりやすい解説

千里眼
せんりがん

透視」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の千里眼の言及

【ESP】より

…超心理学では透視テレパシー予知の三つをまとめていう。このうち最もよくみられるのが透視で,俗に千里眼ともよばれる。霊媒や超能力者によくみられる能力で,素質的要因がつよいが,訓練によっても得られる。…

【透視】より

…目を使わずに他の身体部位で字を読んだり,カードの裏の図形をあてたり,遠くにある物の様子を見ること。俗にいう千里眼にあたる。超心理学ではESP(超感覚的知覚)といい,テレパシーと同質の現象とする。…

※「千里眼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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