超心理学(読み)ちょうしんりがく(英語表記)parapsychology

  • metapsychology,parapsychology
  • ちょうしんりがく テウ‥
  • ちょうしんりがく〔テウ〕
  • 超心理学 parapsychology

翻訳|parapsychology

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

心霊現象あるいは超心理学現象超能力といわれるものを対象とした実験的研究分野。 J.B.ラインにより研究法の標準が定められた。一般人を被験者とし,多数の資料を統計的に処理して法則性を明らかにする。主要な対象は,感覚的手掛りによらずに事象を認知する超感覚的知覚,および心的働きかけだけで物質に影響を与える念力などである。

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世界大百科事典 第2版の解説

超常現象についての学問的研究をいう。その歴史的先駆になったのは,19世紀末から20世紀初めに盛んだった心霊研究である。当時W.ジェームズベルグソンをはじめ,多くの哲学者や科学者が超常現象を研究したが,一般には受け入れられなかった。これに対して,新しい立場から研究する方法を考えたのは,アメリカのラインである。ラインはまず,問題の多い心霊現象についてはとりあげず,研究の対象をESP念力(PK)の二つだけに限定した。

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大辞林 第三版の解説

現在の科学的常識を超えた、透視・念力・テレパシー・予知などのサイ現象を、実証的・実験的に研究しようとする心理学の一分野。パラサイコロジー。 → ESP ( ABC 略語)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

超感覚的知覚(ESP)、念力(PK)などの超常的現象を研究する科学の一部門。[大谷宗司]

超常的現象の証明

アメリカの超心理学者ラインは、それまで心霊現象とよばれていた数多い超常的現象を整理分類しESPとPKとにし、厳密な実験条件のもとで統計的手法を用い、通常人がこれらの能力をもっていることを証明した。彼は感覚的手掛りを排除した条件で、ランダマイズrandomize(無作為化)したカード(5種の図形をもつ)の順序を当てさせるという方法(透視条件)で、1934年までに通常人206人を用いて9万1174試行のテストを行い、偶然期待値を7319超える高度に有意な結果を得た。続いてテレパシー・予知を実験的に証明し、これら三者をあわせESPとよんだ。さらに、さいころ投げ法で念力(PK)を証明した。ラインの実験について、38年のアメリカ心理学会の大会でのシンポジウムで、その実験条件の厳密性について、37年のアメリカ統計数理学会の大会において、用いられた統計処理の適切性が承認された。しかし、ESPとPKのもつ超常的性質のため、まだすべての科学者がその存在を認めるという段階には至っていない。ESPとPKをあわせサイ(psi,ψ)とよぶ。[大谷宗司]

サイ現象の研究

サイ現象の研究は、おもに通常人の示す弱い効果について統計的手法を用い、自然科学の各種領域の研究方法を用いて行われている。心理学的研究では、主体的条件、つまりESP情報の受け手、テレパシーあるいはPKの作用者の性格、態度などの心理的条件と得点との関係、生理学的研究では、中枢神経系の機能との関係が研究され、生物学的研究では、サイ能力の生物界での分布状態の研究、工学的領域からは、電子工学的方法による実験装置の改良(乱数系列発生装置など)、物理学的問題としては、サイ現象の時間・空間的性質の研究や理論物理学での問題をサイ現象の説明に関連づける試みなどがなされている。
 日常の生活のなかで偶発的に経験されるサイと思われる現象の調査も、サイの機構解明のための実験的研究に示唆を与えるものとして重要な役割をもつ。
 サイ現象は心理的・生理的条件により微妙に影響される。現在扱われているサイ効果は微弱で不安定である。そのため、特殊能力をもつと思われる者の研究、サイ能力の開発訓練の研究が行われているが、まだ成果が得られていない。この効果の空間的性質については地球的規模の距離を隔てて効果が検出されているが、それ以上の知識は得られていない。予知現象も理論的に困難な問題を提起している。このように基礎的研究は十分な進展をみせていないが、近時、サイ能力の応用に関して関心がもたれるようになった。[大谷宗司]

研究団体

超心理学者の国際的集まりとして超心理学協会Parapsychological Associationがあり、アメリカ、イギリス、オランダ、ドイツ、インドなどには専門の研究機関があり、多くの国々には研究者の団体があり、わが国では1963年(昭和38)日本超心理学会The Japanese Society for Parapsychology(東京都中野区中央四丁目)が設立された。[大谷宗司]
『J・B・ライン著、瀬川愛子訳『心理学の新世界』(1958・日本教文社) ▽宮城音弥著『超能力の世界』(1985・岩波新書) ▽D・J・ウエスト著、大谷宗司・金沢元基訳『現代の超心理学』(1966・誠信書房) ▽大谷宗司著『超心理の世界』(1985・図書出版社) ▽大谷宗司編『超心理の科学』(1986・図書出版社)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 自然現象に合致しないと思われる超常現象を対象とする、心理学の一部門。感覚を通じないで観念の伝達が行なわれる現象、第六感、心霊現象、テレパシー(精神感応)、透視などを扱う。

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最新 心理学事典の解説

通常の心理学の研究範囲を超える領域を指し,主に次の二つの意味で使われる。

1.フロイトFreud,S.が自著『無意識についてDas Unbewusste』(1915)の中で自らの創始した心理学体系に名づけた造語。この場合,metapsychologyに対応し,メタ心理学ともいう。当時の心理学の正統は意識主義に基づく実験心理学にあり,意識の要素解明とその定量化を主な目標としていたのに対して,フロイトは自己の体系は心理的過程を力動的・局所的および経済的関係によって記述するものであり,正統派の領域を超えるとしてこの名を唱えた。超意識心理学と訳されることもある。現代の用語におきなおせば,意識の分析と感覚測定に対して,要求と動機づけ,意識・無意識の関連,パーソナリティの構造,心的葛藤の機制,神経症の病理などの諸領域が対比されていて,精神分析の学問的範囲ははるかに広いといえる。

2.ラインRhine,J.B.は,旧来の心霊研究psychical researchの対象を整理してサイpsi現象とよんだが,その実験心理学的研究を指す名称。この場合,parapsychologyに対応するが,metapsychologyを充てることもある。

 西欧社会では,18世紀にメスメリズム(動物磁気)が催眠術へと発展し,トランス状態に入った時に前世の想起や死者との交流など特異能力を示す霊媒の出現が唱えられ,心霊現象への関心が高まり交霊会がしきりに行なわれた。霊媒はまた,遠方や未来の出来事を直接感知する透視,他者の心を読み取る思念伝達,物体通過,念写(写真乾板に念力で文字や画像を映すこと)などが可能とされた。1882年イギリスに,1885年にはアメリカでも心霊研究協会が設立され,ジェームズJames,W.,マクドゥガルMcDougall,W.,ベルグソンBergson,H.など著名な学者が参加している。日本でも,明治期末に東大心理学科助教授だった福来友吉が念写実験を公開し物理学者田中館愛橘なども列席したが,作為の疑いで福来は1913年東大を追われる事件が起こっている。

 ラインはサイ現象を,超感覚的知覚extrasensory perception(ESP)と念力psychokinesisの二つに整理し,前者をさらに,物体や事象を感覚径路によらず知覚する透視clairvoyance,他者の心的内容を直接認知するテレパシーtelepathy,未来の事態を知る予知precognitionの三つに分け,これらを厳密に検証するため心霊研究技法にさまざまな改良を行なった。従来のトランプカード当ては好みによる偏りが入るとして,星,波形,四角,円,十字を描いたESPカード(ゼナーカード)を採用したなどが一例である。初めラインの研究手法には疑問と批判が激しかったが,相次ぐ改善により1950年代には,むしろ超心理学実験の手続上の妥当性を承認する意見が多くなったといわれる。

 ライン学派の研究は,高い的中率を示す特異能力者の存在,超能力への信念が的中率を高める,ESP能力者は独自のパーソナリティ特性をもつ,などの知見を見いだした。手法の改良は続き,視覚聴覚的刺激を等質空白化する条件下で4種カードのESP実験が行なわれ(ガンツフェルト法Ganzfeld method),平均38%の的中率が示された。これは統計的にはきわめて希少な確率であり,有意性は疑えない。しかし,偶然的中率25%を差し引くと13%にすぎず絶対的中率はきわめて低い。常識の期待する完全予知や霊感には程遠いといえる。著名な学者にもアイゼンクEysenck,H.J.,ユングJung,C.G.など肯定的見解を示す人もあるが,多くの心理学者は懐疑的というのが実情であろう。この分野が真に発展するためには,サイ現象の機制を合理的に論証できる新しい心理学的理論体系の構築が不可欠である。 →意識 →催眠 →心理学史 →精神分析
〔藤永 保〕

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世界大百科事典内の超心理学の言及

【オカルティズム】より

…近代科学が忘れ去った古代以来の秘密の知,占星術,魔術,錬金術,神智学,降霊術,カバラなども多かれ少なかれオカルティズムの総称の下に包括される。現代では超心理学の別名の下に科学的なアプローチも行われている。 〈オカルト〉という語は16世紀前半からあらわれはじめたが,オカルト的信仰そのものの起源は古く,エジプトやメソポタミアの占星術,ヘブライのカバラ,古代ギリシアのピタゴラス教にまでさかのぼる。…

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