日本大百科全書(ニッポニカ) 「デビッソン」の意味・わかりやすい解説
デビッソン
でびっそん
Clinton Joseph Davisson
(1881―1958)
アメリカの物理学者。イリノイ州の出身。シカゴ大学に入学後、経済的理由からパーデュ大学助手、プリンストン大学非常勤講師、O・W・リチャードソンの助手として生計をたてるかたわら、1908年母校で理学士を修め、1911年プリンストンで学位を取得した。その後カーネギー研究所物理学助教授を経て、1917年ウェスタン・エレクトリック・カンパニー研究所(後のベル研究所)工学部門の遠隔通信の軍事研究に参加した。第一次世界大戦後も研究所に残り、熱イオン学および金属の電子放出の基礎研究に従事した。1924年以来ガーマーLester H. Germer(1896―1971)と共同して、一連の電子の放出と散乱の実験的研究を行い、1927年ニッケル結晶による電子線の回折を発見、電子の波動性を実証した。1937年、同様の成果をあげたG・P・トムソンとともにノーベル物理学賞を受けた。その後、引き続き電子光学と結晶物理学の研究をする一方、電子顕微鏡の開発に尽くした。1946年ベル研究所を辞め、バージニア大学客員教授に就任した。
[兵藤友博 2018年9月19日]